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タンパク質をしっかり摂ると、治療中の体にどんな変化がある?

タンパク質をしっかりとると、治療中の体にどんな変化がある?

がん治療中は、食欲の低下や体調の変化によって、体重や筋肉が減りやすくなることがあります。そんなとき、意識して摂りたい栄養素のひとつがタンパク質です。

研究では、高タンパクの栄養補助食品を取り入れることで、タンパク質の摂取量が増え、体重減少を抑える効果も示されています。筋肉量への効果は研究によって差がありますが、タンパク質は筋肉や体の組織を維持するために欠かせない栄養素です。

この記事では、治療中にタンパク質を摂ることで期待できる効果や、研究で分かっていること、1日にどのくらい摂ればよいのかを紹介します。

タンパク質をとることには、どんな意味がある?

タンパク質は、筋肉や皮膚、臓器など、私たちの体をつくるために欠かせない栄養素です。がんや治療の影響で食欲が落ち、十分な栄養を摂れなくなると、体重だけでなく筋肉も減りやすくなります。

筋肉が減ると、体力が落ちたり、日常生活の動作がつらくなったりすることもあります。そのため、治療中は必要なエネルギーとタンパク質をしっかり摂り、できるだけ筋肉を維持することが大切です。

タンパク質を意識すると、実際に摂取量は増える?

大腸がんまたは肺がんで初回の薬物療法を受ける患者さんを対象に、多施設で行われたランダム化試験があります。試験の介入は1回あたり約18gのタンパク質を含む高タンパク補助飲料を通常の食事に加えて1日2回とるもので、介入群では1日の摂取量が増え、1.0g/kg/日以上に届く人の割合が高くなりました。複数の試験をまとめた解析でも、摂取量の増加が報告されています。

一方、この試験では生活の質や体組成も調べられましたが、それらは探索的な評価で、結果にばらつきがありました。新型コロナの影響で募集や評価に中断があったことも限界です。摂取量の評価方法も研究ごとに違い、どれだけ続けられるかは人によって差があります。

食事だけで足りないと感じるとき、補助飲料は目標量に近づくための現実的な選択肢の一つです。味や飲みやすさ、費用なども考えながら、自分に合った補助飲料を選びましょう。

体重や筋肉にはどんな変化がある?

治療中の成人を対象にしたランダム化試験をまとめた解析では、高タンパクの補助を受けたグループで体重減少が抑えられる傾向が示されました。一方、筋肉量などの体組成については、研究によって結果が異なります。ただし、補助食品の種類や量、期間、測定方法が試験ごとに異なり、小規模な試験も含まれます。効果の大きさは一定ではなく、生存など長期の結果は十分に報告されていません。

化学療法中の筋肉減少への介入をまとめた別のレビューでは、抵抗運動や、運動と栄養を組み合わせた介入は、筋肉量の維持に役立つ可能性が示されています。栄養だけの試験は結果が一致せず、サンプルも小さいため、効果がタンパク質だけによるのかは判断できません。

運動も取り入れられる状態であれば、理学療法士などの指導のもとで栄養と組み合わせることが、筋肉を守る一つの方法になりえます。体調や治療の時期によって適した運動は異なるため、主治医に確認してください。

なお、タンパク質摂取と筋肉量の関係を調べた研究の多くは小規模で、観察研究や試験間の違いが目立ちます。ランダム化試験は存在するものの数や規模は限られ、結論には慎重さが必要です。

QOLや治療への影響は?

気になるのは、元気に過ごせるか、副作用が軽くなるか、治療を予定どおり続けられるかではないでしょうか。しかし、これらを主な目的にして、タンパク質の効果を確かめた信頼できる試験は限られています。生活の質は一部の試験で調べられたものの、探索的な評価にとどまり、まとめた解析でも一貫した改善は示されていません。

副作用の減少、治療の中断や減量の減少、入院期間、生存についても、確かな根拠は得られていません。「効果がない」と分かったのではなく、確かめる研究が足りない状態です。

したがって、タンパク質をとることを、治療を続けるための保証や、副作用を防ぐ手段として期待しすぎないことが大切です。食べられない状況が続くときは、栄養面の工夫だけでなく、症状そのものへの対応も医療チームに相談できます。

治療中のタンパク質、どのくらいが目安?

欧州臨床栄養代謝学会(ESPEN)の実践ガイドラインは、栄養相談を最初の対応とし、タンパク質は1.0g/kg/日を超える量、可能なら1.5g/kg/日までを目安にしています。日本栄養治療学会の2024年版ガイドラインも、栄養評価に基づいて状況ごとに栄養治療を行う枠組みを示しており、具体的な量は病状に応じて決めます。これらはいずれも、まとめられた研究と専門家の合意に基づく推奨で、すべての人に同じ量を当てはめるものではありません。

安全性については、まとめた解析で目立った問題は大きく報告されていません。ただし、慢性腎臓病など持病がある人では、タンパク質を増やすことに注意が必要です。腎機能などによってはタンパク質量の調整が必要になることがあります。補助食品を摂っておなかが張ったり、下痢をしたりする場合は、製品の種類や摂取量を見直す必要があります。管理栄養士や医師に相談してみましょう。

研究にはさまざまながん種や治療を受けている患者が含まれているため、タンパク質を摂ることによる効果には個人差があると考えられます。

キャンエビのまとめ

  • タンパク質は、治療中の筋肉や体の組織を維持するために欠かせない栄養素です。
  • 高タンパクの栄養補助食品を取り入れることで、タンパク質の摂取量が増え、体重減少を抑える効果も示されています。
  • 筋肉を維持するには、十分な栄養に加え、体調に合わせた筋力トレーニングも役立つ可能性があります。
  • 治療中のタンパク質摂取量は、体重1kgあたり1日1.0gを超え、可能なら1.5g程度までが目安とされています。
  • 腎臓に病気がある場合などは、タンパク質の摂取量について医師や管理栄養士に確認しましょう。

参考文献

  1. Effects of high-protein supplementation during cancer therapy: a systematic review and meta-analysis(系統的レビュー)
  2. High Protein Oral Nutritional Supplements Enable the Majority of Cancer Patients to Meet Protein Intake Recommendations during Systemic Anti-Cancer Treatment: A Randomised Controlled Parallel-Group Study(無作為化比較試験、2023)
  3. ESPEN practical guideline: Clinical Nutrition in cancer(診療ガイドライン、2021-05)
  4. がん患者診療のための栄養治療ガイドライン 2024年版 総論編(診療ガイドライン、2024-09-30)
  5. The Effectiveness of Sarcopenia Interventions for Cancer Patients Receiving Chemotherapy: A Systematic Review and Meta-analysis(系統的レビュー、2021)
  6. Protein intake and muscle mass maintenance in patients with cancer types with high prevalence of sarcopenia: a systematic review(系統的レビュー、2021-10-25)

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