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海外で受けたがん治療を、日本の病院へどう引き継ぐ?

海外で受けたがん治療を、日本の病院へどう引き継ぐ?

海外でがんと診断され、現地で検査や治療を受けていたけれど、日本へ帰国して治療を続けることになった。そんなとき、「海外の検査結果は日本でも使える?」「CTやMRIのデータも持って帰る?」「薬はどうなる?」と、いろいろな疑問が出てきます。

海外で受けた診断や治療の情報は、日本の病院でこれまでの経過を把握し、今後の治療を考えるための重要な資料になります。国立がん研究センターでも、紹介状に加えて診断画像、病理レポート、病理標本などの持参を案内しており、こうした資料が病状の把握や検査負担の軽減、治療方針の決定に役立つとしています。

ただし、海外で受けていた治療を、日本でそのまま続けられるとは限りません。必要な資料や受け入れ方法は病院によっても異なるため、できれば帰国前から、日本で受診する予定の病院に確認しておくと準備しやすくなります。

まず準備したいのは、これまでの診断と治療が分かる資料

最初に確認したいのが、現地の担当医から日本の医師へ渡す紹介状や診療情報です。これまでに何のがんと診断され、どのような検査や治療を受け、現在どのような状態なのかが分かる資料は、日本で治療を引き継ぐ際の基本になります。

国立がん研究センター中央病院では、海外から日本へ来て治療を希望する人についても紹介状を求めています。また、海外在住の日本人を含め、外国語で書かれた紹介状や検査結果について日本語への翻訳を求める場合があります。実際に一時帰国して治療を希望する駐在員についても、日本語に翻訳した紹介状が必要と案内されています。

必要な書類や翻訳の扱いは受診先によって異なるため、帰国前に日本の病院へ問い合わせておくのが確実です。現地の病院には、紹介状のほか、手術記録、治療記録、検査結果など、どの資料を発行してもらえるか確認してみましょう。

自分用に治療経過を簡単に整理しておくのも便利です。たとえば、診断日、診断名、手術日、薬物療法や放射線治療を受けた期間、使った薬、主な副作用などを時系列でまとめておくと、初診時に経過を説明しやすくなります。ただし、このメモは正式な診療情報の代わりではないので、できるだけ元の医療記録も一緒に準備します。

CTやMRIなどの画像データも持って帰る

CT、MRI、PET、レントゲンなどの画像データも、できれば準備しておきたい資料です。国立がん研究センターは、がんと診断される根拠となった画像を記録したCD-ROMやフィルムなどを持参すると、病状をより迅速に把握でき、検査の負担軽減や治療方針の決定に役立つと案内しています。

画像そのものだけでなく、検査日や所見が書かれたレポートも一緒に受け取っておくと、いつ、何を調べた検査なのかが分かりやすくなります。

ただし、海外の病院から受け取ったデータを日本の病院でどのような方法で読み込むかは、受診先によって異なります。CDやDVDなど、どの媒体なら受け取れるのか、オンラインでの共有が可能なのかなどは、事前に日本の病院へ確認しておくとよいでしょう。

また、過去の画像があっても、日本で追加の画像検査が必要になることはあります。「海外で撮ったからもう検査はしない」という意味ではなく、これまでの経過を知るための資料として持っていく、と考えると分かりやすいでしょう。

病理レポートだけでなく、病理標本が必要になることもある

がんの診断では、採取した組織を顕微鏡などで調べる病理診断が重要な役割を持っています。そのため、海外で生検や手術を受けている場合は、病理レポートだけでなく、実際の病理標本が日本で必要になることがあります。

国立がん研究センターでは通常の初診でも、病理レポートや病理標本など、がんと診断された根拠となった資料の持参を案内しています。また、海外からの病理相談では、病理標本スライドのほか、ケースによっては未染色のプレパラートや標本ブロックを求めています。

ただし、病理標本は一般的な書類とは違います。海外から運ぶ場合には、標本の種類や状態、梱包、輸送方法、識別情報などを確認する必要があります。患者本人が「とりあえず送っておこう」と発送するのではなく、まず現地の病院と日本の受診先に、どの標本が必要なのか、どのように受け渡すのかを確認する方が確実です。

すべての患者に病理標本そのものが必要になるわけでもありません。まず病理レポートを含む手元の資料を日本の受診先に伝え、追加で必要なものがあるか確認します。

使っていた薬は、名前だけでなく「どう使っていたか」も残す

海外で薬物療法を受けていた場合は、使用した薬についても記録を準備します。薬の名前だけでなく、有効成分名(一般名)、1回の投与量、投与間隔、最後に投与した日などが分かる資料があると、日本の医師や薬剤師が治療内容を確認しやすくなります。

抗がん薬では複数の薬を組み合わせることも多く、mg、mg/m²など投与量の表記もあります。自分で日本語に置き換えて整理するだけでなく、現地の処方記録や治療記録も残しておくと、元の情報を確認できます。

では、海外でもらった薬をそのまま日本へ持ち帰ることはできるのでしょうか。
厚生労働省は、一般の個人が医薬品を輸入できる理由の一つとして「外国で受けた薬物治療を継続する必要がある場合」を挙げています。一方、海外から医薬品を持ち帰ることも個人輸入にあたり、薬の種類や量によっては輸入確認証などの手続きが必要です。一定の範囲では税関での確認のみで持ち込める場合もありますが、医師の処方が確認できなければ輸入できない医薬品もあります。

がん治療で使う薬については、帰国時にどの薬をどれだけ持ち込めるのかを事前に確認しておくことが大切です。また、持ち込めることと、日本でその薬をそのまま使い続けられることは別の問題です。日本での治療については、海外での治療記録をもとに受診先の医師と確認することになります。

海外と日本で、同じ治療になるとは限らない

海外で受けていた治療を日本でも続けたいと思っていても、まったく同じ形で継続できるとは限りません。
日本で承認されている薬や適応、使い方が海外と異なる場合があります。また、日本の医師がこれまでの診断内容を確認したうえで、追加の検査や病理診断を提案することもあります。これは海外で受けた診断や治療を否定するということではなく、日本で今後の治療を安全に進めるために必要な確認が行われる場合がある、ということです。

そのため、「海外でこの治療を受けていたから、日本でも同じ治療を続けてもらえるはず」と考えて帰国するより、まずこれまでの情報をできるだけ正確に引き継ぎ、そのうえで日本での治療方針を相談することになります。

帰国が決まったら、何から準備する?

帰国してから海外の病院へ資料を依頼すると、時差や言葉の問題もあり、やり取りに時間がかかることがあります。帰国が決まった段階で、現地の担当医や病院に「日本で治療を続ける予定」と伝え、どの資料を受け取れるか確認しておくと動きやすくなります。

目安として準備したいのは、紹介状や診療情報、CT・MRIなどの画像データと画像レポート、病理レポート、必要に応じた病理標本、手術記録、これまでの薬物療法や放射線治療の記録、使用している薬の情報などです。外国語で書かれた資料については、日本語訳が必要かどうかも日本の受診先へ確認します。

そして、日本側の病院にも早めに問い合わせます。紹介状に必要な内容、画像データの形式、病理標本の要否、外国語資料や翻訳の扱いなどは病院によって異なります。

情報海外で準備したいもの日本の受診先に確認したいこと
診療情報紹介状、診断・治療記録必要な記載内容、翻訳の要否
画像CT・MRI・PETなどの画像とレポート受け取れる媒体・形式
病理病理レポート、必要に応じて標本標本が必要か、受け渡し方法
薬物療法薬の一般名、投与量、投与日などの記録日本での治療をどう引き継ぐか
その他の治療手術記録、放射線治療記録など追加で必要な資料があるか

海外で受けた診断や治療の記録をできるだけそろえ、日本の受診先に引き継ぐことが大切です。必要な資料は病院によって異なるため、帰国が決まったら早めに受診先へ連絡し、「海外でがん治療を受けていた」と伝えたうえで、何を準備すればよいか確認しておくとスムーズです。

キャンエビのまとめ

  • 海外で受けたがん治療を日本へ引き継ぐときは、紹介状・診療情報、画像、病理資料、治療記録などが重要になります。
  • CTやMRIなどの画像や病理資料は、日本で病状を把握し、今後の治療を考えるための資料になります。
  • 外国語の紹介状や検査結果について、日本語への翻訳を求める病院もあります。
  • 病理標本は自己判断で発送せず、日本の受診先と現地の病院に必要な種類や受け渡し方法を確認します。
  • 海外の薬を日本へ持ち帰る場合、種類や量によって手続きが必要です。
  • 海外と日本で同じ治療をそのまま続けられるとは限らないため、これまでの治療情報を正確に伝えたうえで、日本での治療方針を確認します。

ご注意:この記事は一般的な情報提供を目的としています。必要な資料、外国語資料の扱い、薬の持ち込み、治療の引き継ぎ方法などは、医療機関や薬の種類、個々の状況によって異なります。具体的な手続きについては、受診予定の医療機関や関係機関にご確認ください。

参考文献

  1. 国立がん研究センター「受診のご案内」
    https://www.ncc.go.jp/jp/d001/consultation/about/index.html
  2. 国立がん研究センター中央病院「外来診療(海外から日本に来て治療を希望する方)」
    https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/international_medical_advanced_care/foreign_patients/consultation_2/index.html
  3. 国立がん研究センター中央病院「外国人患者の方、海外在住の日本人患者の方へ」
    https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/international_medical_advanced_care/foreign_patients/index.html
  4. 国立がん研究センター中央病院「病理相談外来・海外オンライン病理相談外来」
    https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/international_medical_advanced_care/foreign_patients/pathology/index.html
  5. 厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/faq.html
  6. 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/topics/tp010401-1.html
  7. College of American Pathologists, “Uniform Labeling of Blocks and Slides in Surgical Pathology”
    https://www.cap.org/protocols-and-guidelines/cap-guidelines/current-cap-guidelines/uniform-labeling-of-blocks-and-slides-in-surgical-pathology

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