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「日本人の2人に1人ががんになる」のに、まわりにがん患者があまりいないのはなぜ?

「日本人の2人に1人ががんになる」のに、まわりにがん患者があまりいないのはなぜ?

「日本人の2人に1人が、一生のうちにがんになる」。
ニュースや広告、SNSなどで、こんな数字を見たことがある人は多いと思います。でも、ふと自分の職場や友人を思い浮かべて、「本当にそんなに多い?」と思ったことはないでしょうか。

30人の職場なら15人、10人の友人グループなら5人ががんになる―という話なら、もっと身近にがんの人がいてもよさそうです。
実は、この違和感には理由があります。「2人に1人」は、今がんになっている人の割合ではありません。数十年という長い時間を含んだ「生涯のリスク」を表した数字だからです。

「2人に1人」は、今がんになっている人の割合ではない

国立がん研究センターの最新がん統計では、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、2023年のデータに基づく推計で男性61.1%、女性50.1%です。これを分かりやすく表現したものが、「日本人の2人に1人ががんになる」という言葉です。

ここで大切なのが、「一生のうちに」という部分です。
たとえば30人の同級生がいたとして、「現在、そのうち15人ががん」という意味ではありません。その30人がこの先何十年と年齢を重ねていく中で、がんと診断される人が増えていきます。

国立がん研究センターでは、このような「ある年齢までに、その病気と診断されるおおよその確率」を「累積罹患リスク」と呼んでいます。
つまり「2人に1人」は、いま目の前にいる人たちを数えて確かめられるような数字ではないのです。

がんになる確率は、年齢によって同じではない

もう一つ重要なのが、がんの罹患率は年齢によって大きく違うことです。
「生涯で2人に1人」と聞くと、20歳でも40歳でも70歳でも、毎年同じくらいの確率でがんになるように感じるかもしれません。しかし、実際のがんの罹患は年齢が上がるにつれて増えていきます。

そのため、学校や若い人の多い職場で「周りにがんの人がほとんどいない」ということは、「2人に1人」という統計と矛盾しません。
逆に年齢を重ねると、自分自身だけでなく、友人や同僚、家族などからがんの話を聞く機会が増えてくることがあります。
同じ「日本人」でも、20代の友人30人を見るのと、70代の友人30人を見るのとでは、がんを経験した人の数が違って見えるのは不思議ではありません。

「30人いたら15人」という計算も、実は少し違う

では、「生涯で2人に1人なら、30人の同級生のうち最終的に15人くらいががんになる」と考えればよいのでしょうか。

これも、あくまでイメージとしてなら近いのですが、実際にはそれほど単純ではありません。
「2人に1人」は、日本人全体のデータから計算した統計上のリスクです。一人ひとりのリスクが50%という意味でもなければ、どんな30人を選んでも必ず半分ががんになるという意味でもありません。

性別によっても違い、現在の推計では男性61.1%、女性50.1%です。さらに、がんの種類によって年齢との関係は異なり、喫煙などの生活習慣、感染、遺伝的な要因などによっても個人のリスクは変わります。
コインを30回投げれば必ず15回表が出るわけではないのと同じで、小さな集団を切り取れば、全国の統計とは違った結果になります。

がんを経験した人が、見た目で分かるとは限らない

そして、もう一つ「周りに少ない」と感じる理由があります。
がんと診断された人が、いつも入院していたり、外見から病気だと分かったりするわけではありません。
手術や治療を終えて経過観察を続けている人もいれば、薬物療法を受けながら仕事を続けている人もいます。治療から何年もたち、普段はがんについてほとんど話さず生活している人もいます。

国立がん研究センターの最新統計では、2018年にがんと診断された人の5年相対生存率は、男女計で64.8%です。ただし、これはすべてのがんをまとめた数字で、がんの種類や進行度などによって大きく異なります。
「がんと診断されたことがある人」と「いま周囲から見てがん患者だと分かる人」は、同じではありません。
職場や近所ですれ違っている人の中にも、がんを経験した人がいるかもしれません。ただ、その人が自分から話さなければ、周囲が知る機会がないだけということもあります。

「2人に1人」は、自分の未来を予言する数字ではない

「2人に1人」と聞くと、自分か隣の人のどちらかががんになる、と言われているようで怖く感じるかもしれません。でも、この数字は個人の未来を予測するものではありません。

日本という大きな集団を長い時間で見たとき、「一生のうちにがんと診断されることは珍しくない」ということを示した統計です。
そして、「がんになる」と「がんで亡くなる」も同じではありません。最新統計では、生涯でがんと診断される確率は男性61.1%、女性50.1%ですが、がんで死亡する確率は男性24.4%、女性17.2%と推計されています。

「2人に1人」という数字だけを見ると、とても大きく感じます。しかし、その数字が「何を」「どの期間で」「どんな集団について」表しているのかまで見ると、意味はかなり違って見えてきます。

では、なぜ周りにそんなにいないように見えるの?

最初の疑問に戻ってみましょう。
「2人に1人ががんになるのに、どうして私の周りにはそんなにいないの?」

主な理由は、「2人に1人」が今この瞬間の割合ではなく、一生という長い期間を通して計算した数字だからです。さらに、がんの罹患は年齢によって大きく異なり、自分の周囲の数十人という小さな集団が日本全体の統計と同じ割合になるわけでもありません。

そして、がんを経験した人が外見から分かるとも限りません。
だから、「周りにはあまりいない気がする」という実感と、「日本人の2人に1人」という統計は、矛盾していないのです。

キャンエビのまとめ

  • 「2人に1人」は、今がんになっている人の割合ではなく、生涯でがんと診断される確率
  • 最新統計では、生涯罹患リスクは男性61.1%、女性50.1%
  • がんの罹患率は年齢によって異なるため、若い集団では身近に感じにくい
  • 全国の統計が、自分の職場や友人など小さな集団にそのまま当てはまるわけではない
  • がんを経験していても、外見や普段の生活から分からない人もいる
  • 「2人に1人」は、一人ひとりの未来を予言する数字ではない

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」(2026年7月14日更新)
  2. 公益財団法人がん研究振興財団・国立がん研究センター がん情報サービス「がんの統計2026」
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