ホーム / 治療を知る / 転移があると、手術をしないことが多いのはなぜ?

転移があると、手術をしないことが多いのはなぜ?

転移があると、手術をしないことが多いのはなぜ?

転移があっても、手術が検討されることはあります。ただし、転移したがんでは、画像で確認できる病変以外にも小さながん細胞が存在する可能性があります。そのため、手術で一部の病変を取り除くより、全身に作用する薬物療法を中心に治療するほうが適している場合があります。

一方、転移の範囲が限られている場合や、症状の原因となっている病変を取り除く場合など、手術や放射線治療が選択されることもあります。治療方針は、がんの種類、転移の場所や広がり、体の状態、期待できる効果と負担などを踏まえて判断されます。

今回の検証で分かったこと

転移があっても、手術が検討されることはあります。ただし、画像には映らない小さな病変が存在する可能性があるため、薬物療法が治療の中心になる場合があります。

一方、転移が限られている場合や、症状を改善する目的などでは、手術や放射線治療が選択されることもあります。

転移があっても、手術が検討されることはあります

転移がある場合でも、病気の広がりや部位、患者さんの全身状態によっては手術で転移病変を切除したり、放射線や焼灼で局所を制御することがあります(該当する状況では長期の病勢コントロールが期待されることがあります)。

ただし、画像検査で確認できない微小ながん細胞が全身に残っている可能性があるため、局所手術だけで全て解決できるとは限らないことが治療方針を決めるうえで重要になります。病状やがん種ごとの詳細は専門家と確認してください。

ここが要点

転移があっても手術が選択肢になる場合はありますが、多くの状況では全身療法との組合せや順序を専門家が個別に判断します。

画像に見えている病変だけが、すべてとは限りません

CT、MRI、PETなどの画像検査には、確認できる病変の大きさに限界があります。画像には映らないほど小さながん細胞や病変が、ほかの場所に存在している可能性もあります。

そのため、画像で確認できる病変だけを手術で取り除いても、その後に別の場所でがんが確認されることがあります。転移したがんで手術だけを選択することが少ないのは、このように全身の病気として考える必要があるためです。

ただし、転移の状態はがんの種類や患者さんによって異なり、手術と薬物療法を組み合わせる場合もあります。

ここが要点

画像に映らない微小転移の存在が、局所手術単独での根治を難しくする重要な要因です。

転移したがんでは、薬物療法が中心になることがあります

薬物療法は、血液を通じて全身に作用するため、画像で確認できない小さな病変にも効果が期待できます。そのため、転移したがんでは、薬物療法を中心に治療する場合があります。

一方で、がんの種類、転移した場所、病変の数、症状などによっては、手術や放射線治療を先に行ったり、薬物療法と組み合わせたりすることもあります。

どんな場合に手術や局所療法が検討されるのか?:オリゴ転移とコンバージョン

オリゴ転移は一般に転移が限局している少数の状態を指します。オリゴ転移の一部では、手術・高精度放射線(SABR等)・焼灼などの局所療法で長期の病勢コントロールが期待される場合がありますが、『根治が期待できる』かどうかはがん種や臓器、転移の数や位置などで大きく異なります。

コンバージョン手術とは、初期に薬で腫瘍を縮小させてから切除可能になった場合の手術で、例えば大腸がんの肝転移の領域では実臨床で行われ成績が報告されることがあります。ただしこれらは選択された症例で良好な成績が示されやすく、個々の適応は専門家による評価が必要です。

  • オリゴ転移:転移が限局・少数で局所療法が検討される場合がある
  • コンバージョン:薬で縮小後に切除可能になった場合に検討される
  • 適応はがん種や臓器で異なり、専門的評価が必要

症状を和らげたり、緊急事態に対応したりする手術もあります

転移したがんを治すことが難しい場合でも、出血や消化管の閉塞を改善したり、神経への圧迫を取り除いたりするために、手術や放射線治療などを行うことがあります。

こうした治療は、がんをすべて取り除くことではなく、つらい症状を軽くし、生活や体の機能を守ることを目的としています。

手術の負担と意思決定:何を考えるか

手術には合併症のリスクや入院・回復期間といった負担が伴います。これらの負担が期待される利益を上回る場合は手術が選択されません。

手術可否の判断には、がん種、転移の臓器・数、切除可能性、薬物療法の反応、全身状態・併存疾患、予想される回復期間、そして患者さんご本人の価値観や希望が関わります。医師は利点とリスクを説明し、患者さんや家族の価値観を含めた共有意思決定が重要です。

  • 医学的因子(病状・切除可能性・反応など)
  • 全身状態・併存疾患
  • 患者や家族の希望・生活の優先度

「手術を受けた人の成績が良い」という研究の注意点

手術を受けた人の生存期間が長かったという研究があっても、手術そのものの効果だけとは限りません。もともと転移が少ない人や、体の状態が良い人が手術に選ばれていた可能性があるためです。研究結果が自分の病状にも当てはまるかは、がんの種類や転移の状態を踏まえて考える必要があります。

キャンエビのまとめ

  • 転移があっても、手術や放射線治療などが選択肢になることはあります。
  • 転移したがんでは、画像に映らない小さな病変が存在する可能性があるため、全身に作用する薬物療法が中心になる場合があります。
  • 転移が少数に限られている場合や、薬物療法によって切除できる状態になった場合には、手術などの局所治療が検討されることがあります。
  • がんを治すことが難しい場合でも、出血や閉塞などの症状を改善し、生活や体の機能を守るために手術が行われることがあります。
  • 手術が適しているかどうかは、期待できる効果だけでなく、合併症のリスクや回復にかかる負担、患者さんの希望なども含めて判断されます。

参考文献

  1. Pan-Asian adapted ESMO Clinical Practice Guidelines for the diagnosis, treatment and follow-up of patients with metastatic colorectal cancer(診療指針、2023)
  2. JSCCR(日本大腸癌研究会)ガイドライン(2022) ― 転移性大腸癌と肝切除の記載(診療指針、2022)
  3. National Cancer Institute (NCI) — Metastatic cancer: treatment overview (patient information)(NCI患者向け情報、2023)
  4. Is primary tumour resection associated with survival improvement in patients with colorectal cancer and unresectable synchronous metastases? A pooled analysis of individual data from four randomised trials(4件の臨床試験データを用いたプール解析、2015年)
  5. Stereotactic Ablative Radiotherapy for the Comprehensive Treatment of Oligometastatic Cancers: Long-Term Results of the SABR-COMET Phase II Randomized Trial(無作為化第II相試験の長期成績、2020年)
  6. Conversion Strategy in Left-Sided RAS/BRAF Wild-Type Metastatic Colorectal Cancer Patients with Unresectable Liver-Limited Disease: A Multicenter Cohort Study(大腸がん肝限局転移のコホート研究、2022-11-04)

ご注意

この記事は、転移したがんの治療に関する一般的な情報を紹介するものです。手術が適しているかどうかは、がんの種類や病状によって大きく異なります。ご自身の治療方針については、主治医をはじめとする医療チームにご確認ください。

広告

着心地も、おしゃれも、どちらも大切

ウエストゴムで楽に着られる
ゆったりシルエットのカジュアルパンツ

Category List