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家族が「抗がん剤をやめてほしい」と言ってきたとき

家族が「抗がん剤をやめてほしい」と言ってきたとき

家族から突然、「もう抗がん剤はやめてほしい」と言われた。「そんなにつらそうなのに、まだ続けるの?」「抗がん剤は体に悪いんじゃない?」「別の治療を探した方がいいよ」。自分では治療を続けようと思っていても、大切な家族から言われると心が揺れることがあります。

まず覚えておきたいのは、家族の意見を聞くことと、家族に治療を決めてもらうことは別だということです。そして、家族を一人で説得し続ける必要もありません。

「やめてほしい」の後ろに、不安が隠れていることもある

家族が治療に口を出してくると、「私のことなのに」と腹が立つこともあるでしょう。一方で、「抗がん剤をやめてほしい」という言葉の背景に、家族自身の怖さが隠れていることもあります。

副作用でつらそうな姿を見ているのが苦しい。抗がん剤について怖い情報をネットで見た。このまま治療を続けて大丈夫なのか分からない。大切な人を失うかもしれないことが怖い。そうした不安が、「やめてほしい」という言葉になって出てくることがあります。

だからといって、本人が望んでいる治療を家族の不安だけで変更しなければならないわけではありません。家族の不安は大切にしていい。でも、本人の意思も同じように大切です。

自分自身の気持ちを伝える

家族から強く言われたとき、その場で抗がん剤について長い説明をする必要はありません。たとえば、「心配してくれているのは分かる。でも、治療については私と先生で相談して決めたい」「やめてと言われると、私まで治療を続けるのが不安になってしまう。今は応援してもらえるとうれしい」と伝えてみるだけでも十分です。

まだ自分自身も迷っているなら、「私も迷っているから、次の診察で先生ともう一度相談してみる」でも構いません。大切なのは、家族を言い負かすことではなく、「私はどうしたいのか」を家族の意見と分けて伝えることです。

家族を診察に連れていく方法もある

何度説明しても家族が納得しない場合、患者本人が抗がん剤について説得をする必要はありません。可能であれば、家族に診察へ同席してもらい、医師から直接説明を聞いてもらう方法があります。

「なぜこの治療をしているのか」「どんな効果を期待しているのか」「副作用にはどう対応するのか」「ほかにどんな選択肢があるのか」。家族自身が医師に質問できれば、患者本人が家に帰ってからすべてを説明する負担も減ります。病院によって家族の同席についてのルールは異なるため、必要なら事前に確認しておきましょう。

家族を説得することまで、患者一人で背負わなくていい

問題は、一度説明しても家族が「抗がん剤はやめた方がいい」「先生の言うことを信じて大丈夫なの?」「もっと別の治療を探そう」と何度も繰り返してくる場合です。治療を受けるだけでも大変なのに、家に帰ってから毎回この議論を続けるのはかなり疲れます。

そんなときは、主治医や看護師に「家族と治療について意見が合わなくて困っています」と伝えて構いません。がん相談支援センターに相談する方法もあります。がん相談支援センターでは、がんに関する治療や療養生活などについて、患者本人だけでなく家族も相談できます。

家族の不安まで、患者本人が一人で解消する必要はありません。

「抗がん剤をやめて、この療法にしよう」と言われたら

家族がネットや知人から得た情報を持ってきて、「抗がん剤をやめて、この治療を受けよう」「このサプリが効くらしい」「この人はこれで治ったみたい」と勧めてくることもあります。この場合も、その場で正しい・間違っていると家族と決着をつける必要はありません。

気になる情報なら、商品名や治療法が分かるものを主治医や薬剤師に見せて、「家族から勧められたのですが、どう考えればいいですか?」と聞けば大丈夫です。特に健康食品やサプリメントの中には、医薬品との相互作用などに注意が必要なものもあります。自己判断で新しいものを追加したりする前に医療チームへ確認しましょう。

もちろん、本人が「やめたい」と思うこともある

この記事は、「家族が何と言っても抗がん剤を続けましょう」という話ではありません。副作用がつらい、治療の負担が大きい、ほかの治療を検討したい、治療より優先したいことが出てきた――患者本人の気持ちが変わることもあります。

その場合は、「家族に言われたからやめる」のではなく、自分は何を望んでいるのかを主治医と話してみることが大切です。治療を続けることも、変更を相談することも、中止について相談することも、患者本人と医療者が一緒に考えていくことです。

キャンエビのまとめ

家族から「抗がん剤をやめてほしい」と言われても、すぐに家族を説得しなければならないわけではありません。家族がそう言う背景には、不安や怖さがあるのかもしれません。その気持ちを理解することと、家族の言う通りに治療を変えることは別です。

「心配してくれているのは分かる。でも、治療については私と先生で相談して決めたい」。まずは、それだけでも十分です。それでも話が平行線になるなら、診察に同席してもらったり、主治医や看護師、がん相談支援センターなど第三者の力を借りたりして構いません。

治療を受けながら、家族を説得する仕事まで一人で背負わなくて大丈夫です。

参考資料

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センターとは」
    がん相談支援センターで相談できる内容や、患者本人だけでなく家族も利用できることなどを紹介しています。
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センターを探す」
    全国のがん相談支援センターを検索できます。
  3. 厚生労働省「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」
    ※主に人生の最終段階における医療・ケアについての資料です。本人の意思を基本に、医療・ケアチームと繰り返し話し合う考え方の参考になります。
  4. 厚生労働省 eJIM「『統合医療』情報発信サイト」
    健康食品や各種補完療法などについて、安全性・有効性を考えるための公的な情報を掲載しています。
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス「健康食品やサプリメントについて」
    がん治療中の健康食品・サプリメントについて、治療への影響や医療者への相談の必要性などを解説しています。

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