SNSで治療について投稿したら、「抗がん剤なんてやめた方がいい」「抗がん剤は毒だ」「この療法なら治る」などと、知らない人から突然コメントが来た。心配して言っているのかもしれない。でも、治療中にこんなコメントが続けば、読むだけでも疲れてしまいます。
まず覚えておきたいのは、あなたには、その人と抗がん剤について議論する義務はないということです。
抗がん剤について、SNSで論破しなくていい
「それは間違っています」と反論したくなることもあるかもしれません。でも、相手を納得させるためにエビデンスを示すための論文を探したり、抗がん剤の有効性を説明したりする必要はありません。
治療中は、ただでさえ通院や副作用、仕事や生活の調整など、考えることがたくさんあります。知らない人との「抗がん剤討論会」まで参加しなくて大丈夫です。
返信しない。ミュートする。ブロックする。どれも立派な選択肢です。
「心配して言っているだけ」という相手でも同じです。善意であることと、そのアドバイスを受け取らなければならないことは別の話です。
無視・ミュート・ブロック。どれでもOK
一度コメントされただけなら、そのまま返信せず放置しておいても構いません。
知人など、完全に関係を切るほどではない相手なら、SNSのミュートや制限機能を使う方法もあります。何度も同じことを書いてくる、代替療法を勧め続ける、DMまで送ってくる、といった場合はブロックしてしまってもいいでしょう。
嫌がらせや不審な勧誘なら、SNSの通報機能を使う方法もあります。
「ブロックしたら感じが悪いかな」とまで心配しなくて大丈夫。 SNSを見るたびに治療について否定される状態を、自分のアカウントに残しておく必要はありません。
返信するなら、一言で終わらせる
もちろん、「一言だけ伝えておきたい」と思うこともあるでしょう。
そんなときも、長い説明は必要ありません。
- 「治療については担当医と相談して決めていますので、アドバイスは大丈夫です。」
- 「お気遣いありがとうございます。治療方針についての助言は求めていません。」
- 「ご提案は結構です。これ以上の勧誘は控えてください。」
これくらいで十分です。
送ったあとにまた反論が来ても、そこから第2ラウンドを始める必要はありません。返信を終える、ミュートする、ブロックする。そこで終了して大丈夫です。
「でも、書いてあることが本当だったら?」と思ったら
困るのは、相手のコメントを読んで少し不安になってしまったときです。
「抗がん剤を続けると逆にがんが増える」
「この治療は海外ではもう使われていない」
「このサプリを使えば抗がん剤はいらない」
そんなことを書かれたら、「まさか」と思いながらも気になってしまうかもしれません。
その場合も、SNS上で答えを出す必要はありません。
投稿を保存して、次の診察などで「SNSでこれを見たんですけど、本当ですか?」と主治医や薬剤師に聞けば十分です。治療に関する情報について相談したい場合は、がん相談支援センターを利用する方法もあります。
大切なのは、SNSのコメントだけを理由に抗がん剤を中止したり、治療方法を変更したりしないことです。
「この治療なら治る」と商品を勧められたら
さらに注意したいのが、「抗がん剤なんてやめた方がいい」という話から、特定の商品や治療法の販売につながるケースです。
「このサプリなら治る」
「この治療院に行けばいい」
「詳しくはDMで」
「自分もこれで治った」
こうした言葉だけで、その商品や治療法の有効性を判断することはできません。
特に、標準治療をやめるよう勧めながら、健康食品やサプリメント、有料サービス、民間療法などへ誘導された場合は、その場で購入や契約を決めず、一度距離を置きましょう。
しつこい勧誘なら、返信する必要はありません。ブロックや通報で十分です。
それでもしつこい。嫌がらせになってきたら
ブロックしても別のアカウントから連絡してくる。何度も誹謗中傷を書き込まれる。個人情報をさらされる。脅すようなメッセージが届く。ここまでくると、単なる「治療についての意見」とは別の問題です。
まず、投稿やメッセージを削除する前に、スクリーンショットやURLなどを保存しておくと、後から相談するときの記録になります。そのうえでSNS運営会社への通報や削除依頼を検討できます。
内容によっては、発信者情報の開示を求め、投稿者の特定や損害賠償請求などを検討できる場合もあります。ただし、「気に入らないコメントなら開示請求できる」という制度ではありません。名誉毀損やプライバシー侵害など権利侵害に当たるかどうかなど、個別の事情によって対応は変わります。
「これはもう普通のコメントではないのでは」と感じるほど続く場合は、一人で法的判断をする必要はありません。法務局の人権相談や、インターネット上のトラブルに関する公的な相談窓口、弁護士などに相談する方法があります。身の危険を感じるような脅迫などがある場合は、警察への相談も選択肢になります。
治療中だからといって、ネット上の嫌がらせまで我慢する必要はありません。
キャンエビのまとめ
- SNSで「抗がん剤なんてやめろ」と言われても、その人に反論する必要はありません。
- 返信しない、ミュートする、ブロックする。それだけで終わらせても大丈夫です。
- もし書かれている医療情報が気になったら、SNSで論争するのではなく、主治医や薬剤師などに確認すればいい。特定の商品や代替療法への勧誘なら、なおさらその場で判断する必要はありません。
- そして、単なる意見を超えて誹謗中傷や執拗な嫌がらせになってきたら、証拠を保存して通報・相談する。内容によっては、発信者情報の開示請求などの法的な手段を検討できる場合もあります。
- あなたの治療について、SNSの知らない人から許可をもらう必要はありません。
参考資料
- 法務省「インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口のご案内」
SNSなどで誹謗中傷を受けた場合の、削除依頼、人権相談、弁護士・法テラス、警察などの相談先を案内しています。
https://www.moj.go.jp/content/001376564.pdf - 国立がん研究センター がん情報サービス「『がん相談支援センター』とは」
がんや治療について疑問や不安があるときに利用できる、無料・匿名の相談窓口について紹介しています。
https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センターの探し方」
全国のがん相談支援センターを探す方法や、がん情報サービスサポートセンターについて案内しています。
https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/supportcenter_search.html - 消費者庁「消費者ホットライン」
健康食品や有料サービスなどの勧誘・契約トラブルが生じた場合に、全国共通の「188」から身近な消費生活センターなどにつながる仕組みを案内しています。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/








