「補完療法なら取り入れてもいいけれど、代替療法は避けたほうがいい」。そんな説明を見ても、名前が似ていて違いが分かりにくいかもしれません。
見分けるポイントは、標準治療と一緒に行うのか、標準治療の代わりに行うのか。同じ食事法や健康食品でも、使い方によって意味が変わります。まずは言葉の違いから整理しましょう。
「一緒に行う」か「代わりに行う」か
補完療法は、手術、薬物療法、放射線治療などの標準治療を受けながら、それに加えて行うものです。例えば、治療中のつらさに向き合うために、ヨガやリラクセーションを取り入れる場合が挙げられます。
代替療法は、標準治療を受けず、その代わりとして別の方法を選ぶことです。例えば、勧められたがん治療をやめ、「特別な食事法だけでがんを治す」と考えて取り組む場合です。
米国の国立補完統合衛生センター(NCCIH)と国立がん研究所(NCI)も、この「一緒に使う/代わりに使う」という違いで説明しています。NCCIHの用語解説、NCIの解説
| 補完療法 | 代替療法 | |
|---|---|---|
| 標準治療との関係 | 標準治療と一緒に行う | 標準治療の代わりに行う |
| 例 | 治療を受けながら、気持ちを落ち着けるためにヨガを行う | がんを治す目的で、勧められた治療をやめて食事法だけを行う |
「補完」なら安全で効果がある、という意味ではない
言葉の違いが分かると、「標準治療と併用するなら大丈夫」と思うかもしれません。でも、補完療法という呼び名は、効果や安全性の保証ではありません。
何を使うかによって、確かめられていることは異なります。特に健康食品やサプリメントは、治療薬との飲み合わせや、成分の摂り過ぎに注意が必要です。国立がん研究センターのがん情報サービスも、がん治療中に民間療法を始める前に担当医へ相談するよう案内しています。がん情報サービス「がんと民間療法」
また、「気持ちが落ち着く」「体を動かす時間を楽しめる」ことと、「がんそのものを治す」ことは別の話です。何に役立つと考えて取り入れるのかも、分けて見てみましょう。
名前よりも、「何の代わりにするのか」を確かめる
迷いやすいのは、同じ方法が違う目的で勧められることです。
例えば食事について、「治療中、食べやすいものを探したい」という相談と、「この食事法をすれば抗がん剤は不要」という主張では、意味が大きく違います。さらに、普段の食事を整えることすべてを「補完療法」と呼ぶ必要もありません。
情報を見たときは、次のように考えると整理しやすくなります。
- 何を目的に勧めている? 暮らしや症状への工夫なのか、がんを治すという主張なのか。
- 標準治療との関係は? 一緒に行う話なのか、治療をやめるよう勧めているのか。
- 自分の治療と両立できる? 健康食品などを使う場合、成分や使い方を担当医・薬剤師に確認できるか。
標準治療を受けながら、暮らしを少しでも過ごしやすくしたいと考えるのは自然なことです。一方で、標準治療の代わりとして勧められる方法については、その主張の根拠を慎重に確かめる必要があります。がん情報サービス「がんと民間療法」
「統合医療」はどう違う?
「統合医療」という言葉もあります。これは一般に、通常の医療を土台に、補完的な方法を組み合わせて考える取り組みを指します。ただし、「統合医療」と書かれているだけで、そこで紹介される方法の効果や安全性がすべて確認済みになるわけではありません。方法ごとに、根拠と自分の治療への影響を確かめることが大切です。がん情報サービス、NCCIH
キャンエビのまとめ
- 補完療法は標準治療と一緒に、代替療法は標準治療の代わりに行うものです。
- 「補完療法」という名前だけで、効果や安全性は判断できません。
- 情報を見るときは、何を目的とする方法か、標準治療をやめるよう勧めていないかを確かめましょう。
- 健康食品やサプリメントなどを治療中に使いたいときは、始める前に担当医や薬剤師に相談してください。








