抗がん剤の点滴中、周りの人が何をしているのか気になったことはありませんか?
寝ている人もいれば、スマホを見ている人、本を読んでいる人もいます。長い点滴なら、途中でお昼の時間になることも。
「みんな何を持ってきて、何をして、どうやって数時間を過ごしているんだろう?」
今回は、点滴治療中の患者さんを対象にした調査や研究から、その過ごし方を調べてみました。
この記事は、国内外のアンケートや観察研究で『実際に報告された』点滴中の過ごし方を、睡眠・スマホ・読書・動画・音楽・食事や飲み物・会話・仕事・何もしない、といった、点滴中のさまざまな過ごし方を紹介します。『自分にはどれが合いそうか』を気軽に考えてみてください。
調べてみると、過ごし方はいろいろ
点滴中の患者さんの過ごし方を調べた研究では、テレビを見たり、本を読んだり、スマホやタブレットを使ったり、休んだりと、さまざまな過ごし方が報告されています。
スマホなどのデジタル機器について調べた研究では、メールや動画、ゲームなどに使う人もいました。また、治療室のテレビなど、病院の設備によってもできることは変わります。
少し変わったところでは、点滴中にVRを体験してもらった研究もあります。ただ、何かをして過ごしたい人もいれば、静かに休みたい人もいて、好みはさまざま。
こうした研究は小規模なものも多く、「患者さんはみんなこう過ごしている」とまでは言えません。それでも、点滴中の過ごし方は思った以上に自由で、人それぞれということは見えてきます。
点滴中、こんなふうに過ごしている人も
睡眠/うとうと: 点滴中に少し眠ったり、目を閉じて休んだりする人もいます。点滴室は肌寒く感じることもありますが、ブランケットを貸してくれる病院もあります。気になる場合は、持参する前に貸し出しがあるか聞いてみてもよさそうです。
スマホ・タブレット: SNSやニュースを見たり、ゲームをしたり、動画を見たり。点滴中の過ごし方としてスマホなどを使う人も報告されています。長時間使うつもりなら、イヤホンや充電器があると便利です。
読書(紙・電子): 小説や雑誌を読んだり、電子書籍を開いたり。本を持っていったものの、眠くなってほとんど読まなかった……なんて日もありそうです。
動画・院内TV: 映画やドラマ、YouTubeなどを見て過ごす方法も。長めの点滴なら、見たかった作品を一本用意しておくのもよさそうです。イヤホンも忘れずに。
音楽: イヤホンで好きな音楽を聴きながら過ごす人もいます。画面を見る気分ではないけれど、何か聴いていたいときにも。
食事・飲み物を摂る: 長時間の点滴では、途中で食事や軽食をとったり、飲み物を飲んだりして過ごす人もいます。点滴治療の環境について調べた研究でも、食べ物や飲み物は患者さんにとって重要なものの一つとして挙げられています。点滴室で飲食できるかどうかは病院や治療内容によって異なるので、長時間の点滴なら事前に確認しておくと安心です。
会話: 看護師さんとちょっと話したり、同伴ができる施設では家族と話したりして過ごす人もいます。点滴室に本人以外が入れるかどうかは病院によって異なります。
仕事: ノートPCやタブレットを開いて、メールを確認したり軽い仕事をしたりする人もいます。ただ、点滴の日まで仕事をしなければならないわけではありません。今日はできそう、という日に少しやるくらいでも。
何もしない・ぼーっとする: 寝るわけでもなく、何かを見るわけでもなく、ただぼーっとする。もちろん、これもありです。点滴中だからといって、時間を有効活用する必要はありません。
その日の自分に合った過ごし方でOK
点滴中の過ごし方は、治療時間やその日の体調によっても変わります。短い点滴ならスマホを見ているうちに終わるかもしれませんし、長い点滴なら途中で食事の時間になったり、映画を一本見られるくらいの時間があったりするかもしれません。元気な日は仕事をしたくても、疲れている日はずっと寝ていたいこともあります。
病院の環境によっても過ごし方は変わります。飲食できる?/売店はある?/食べ物を持ち込める?/ブランケットは借りられる?/同伴者は入れる?/などは施設によって違うので、事前に確認しておくと安心です。長めの点滴なら、イヤホンや充電器など、自分が過ごしやすくなるものを用意しておくのもよいでしょう。必要なものは事前に確認しておくと荷物を減らせます。
そして、せっかく時間があるからといって、必ずしも何かをする必要はありません。本を持ってきたけれど1ページも読まなかった、映画を見るつもりだったのに全部寝ていた、という日があってもいいと思います。
今回紹介した研究は、国や施設、調査時期、対象人数などがそれぞれ異なります。そのため「点滴中の患者さんの○%がこれをしている」といった全国共通の割合として見ることはできません。ただ、寝る人もいれば、動画を見る人も、本を読む人も、誰かと話す人も、何もしない人もいる。過ごし方は思っている以上にいろいろある、ということは見えてきます。
点滴中にいつもと違う症状やつらさを感じたときは、過ごし方にかかわらず看護師に伝えてください。それ以外は、その日の体調と気分に合わせて。「今日は何して過ごそうかな」くらいでいいのではないでしょうか。
キャンエビのまとめ
- 点滴中は、寝る、スマホを見る、本を読む、動画を見る、食事をする、誰かと話す、仕事をする、ぼーっとするなど、いろいろな過ごし方があります。
- 点滴中の過ごし方は、その日の体調や気分、点滴の長さによっても変わります。前回はスマホを見ていたけれど、今回はほとんど寝ていた、ということもありそうです。
- 今回紹介した調査は規模や環境がそれぞれ違うため、「みんなこの過ごし方をしている」というものではありません。
参考文献
- Adult cancer survivors’ perceptions of immersive virtual reality exercise and its utility during chemotherapy infusion: a concurrent mixed method exploratory study(資料種別要確認)
- Experiences of Patients Undergoing Chemotherapy With Virtual Reality: Mixed Methods Feasibility Study(混合研究法によるフィージビリティ研究、2022年)
- Patient Needs and Environments for Cancer Infusion Treatment(資料種別要確認)
- 厚生労働科学研究費補助金関連資料(がん治療と就労などを含む大規模調査の報告書)(公的資料)








