検索やSNSで医療に関する記事を見て、胸がざわついたり不安になったことはありませんか。全部をあなた一人で判断する必要はありません。
まずは立ち止まって、記事を読む際に確認する「3つのポイント」を使って落ち着きましょう。架空の記事を例に、一緒に確かめる手順を説明します。
不安になったら、まず3つだけ確認する
「標準治療をやめるべき」「これだけで治る」。検索やSNSでそんな言葉を見かけたら、すぐに信じたり、反論したりしなくても大丈夫です。まずは、その記事について次の3つを確かめてみましょう。
- 誰が、何のために発信している? 著者や運営元は分かるか。商品販売や広告につながっていないか。
- 根拠をたどれる? 研究や公的資料の出典が示されているか。個人の体験を、誰にでも当てはまる話として書いていないか。
- 自分の状況に当てはまる? 対象のがんの種類や治療内容は同じか。情報が書かれた時期も確認できるか。
3つすべてを自分で判定する必要はありません。「ここが分からない」と気づくだけでも、記事を保存して診察で質問するときの手がかりになります。次から、架空の記事を例に一つずつ見ていきます。
確認1:発信者は誰か(架空例でチェック)
例(架空記事A):『がんに効くサプリ、これ1つで副作用が減った!』という記事。ページに著者名や運営会社の記載がなく、製品販売ページへ誘導するリンクが多いケースを想定します。
見るポイントは簡単です。著者名や所属、運営会社、広告表示や商品販売のリンク、連絡先があるかを探します。
- 運営者が明示されていれば「誰」が発信しているかが分かり、目的(情報提供か販売か)の区別がつきやすくなります。
- 運営元が不明だったり販売リンクが多かったりする場合は、その記事は『販売を目的にしている可能性』があるため慎重に扱いましょう。
確認2:根拠はたどれるか(体験談の扱い方を含む架空例)
例(架空記事B):『私がこの食事で副作用が消えた』という個人の体験談だけが書かれている記事を想定します。出典や研究の引用があるかを確かめましょう。
体験談は貴重な一つの経験です。ただし、それだけで『全員に当てはまる証拠』とは別物だと考えると読みやすくなります。
- 研究や公的資料へのリンク、出典の年と発信元、試験の対象が明示されているかを確認する。
- 『これで全員が良くなる』といった一般化がされているなら、根拠が不足しているおそれがあります。
- 出典がない場合は、そのまま信じて行動を変えるより、保存して専門家に見せるための材料にしましょう。
確認3:自分の治療に当てはまるか(がん種や治療法が異なる例で確認)
例(架空記事C):『あるがん種の新しい治療が効果的』という内容が、別のがん種や治療を受けている人にもそのまま当てはまると誤解されるケースを想定します。
記事が対象とするがん種や治療法、治療段階、作成・更新日、発信地域などを自分の状況と照らし合わせると、自分に当てはまるかが分かります。
- 記事に特定の薬名や治療法が書かれている場合、あなたが同じ薬や治療を受けているかを確認してください。
- 作成・更新日が古ければ最新の情報とずれている可能性があります。自分の診断名や治療内容と合わせておくと、相談が具体的になります。
記事を保存して、相談に持っていく具体的な一歩
不安になった記事は、まず正確に保存しましょう。落ち着いてから誰かに見せるときに役立ちます。保存は簡単で、あとで見返しやすい形にすることがポイントです。
- 保存方法の例:スマホでスクリーンショット、ブラウザのブックマークやPDF保存、URLのメモ。見つけた日時も短くメモしておくと便利です。
- 相談用メモに入れると便利な項目:記事のURLやスクショ、気になった一文(短く引用)、発見日時、自分の診断名と現在の治療を簡潔に。
主治医などへの相談時に見せるときに使える短いフレーズ
スクショを見せながら短く伝えると話が早く進みます。会話の例をそのまま使ってみてください。
- 伝え方の例:「この記事を見て心配になりました。ここが気になります(スクショを見せる)。この記事は私にも当てはまりますか?」「この出典は信頼できますか?」
- 相談相手の選び方:主治医の都合がつかないときは、まず看護師やがん相談支援センターに見せるのも一つの方法です。
キャンエビのまとめ
- 読む前に『発信者・根拠・自分へ当てはまるか』の3点を短く確認すると、判断や次回の相談につなげやすくなります。
- 体験談は参考になる一方で、全員に当てはまる証拠とは別に扱いましょう。
- 不安な記事はスクリーンショットと短いメモで保存し、あとで主治医や相談窓口に見せられる形にしておくと楽になります。
参考文献
- 健康・医療情報の見極め方・向き合い方(eJIM:患者さんと家族のための手引き)(公的資料)
- 健康・医療情報の見極め方・向き合い方(PDFガイドライン)(公的資料)
- がん情報サービス(国立がん研究センター) — がん情報を知りたい方へ(研究機関の公式発表)
- 信頼できる情報の発信(国立がん研究センター がん対策研究所)(研究機関の公式発表)
- 患者さんのための肺がんガイドブック(Q&A) — 一般社団法人 はいがんネットワーク(患者支援情報)(患者支援団体の情報)
ご注意:この記事は判断の補助を目的としています。治療の中止や変更など重要な医療判断は必ず医療機関で確認してください。症状が急に悪化するなど緊急性がある場合は、ためらわず医療機関に連絡してください。








