最初から「続ける」「休む」をはっきり決める必要はありません。
まずは、短い判断メモで治療予定と体調の波、仕事の負担、利用できそうな制度、働きたい理由を整理することと、そのメモを基に主治医や職場へ相談するのがおすすめです。
この記事は、そのための書き方、伝え方、制度の入口と行動リストを具体的に示します。
1. 判断メモを作る:必要な6項目と書き方
迷いを少し軽くするために、まずは『短い判断メモ』を作りましょう。長く書く必要はありません。このメモはまず自分のために書き、診察では仕事の負担や体調の変化を、職場では通院予定や調整したい業務を中心に、必要な部分だけ伝えましょう。
- 必須の項目(6つ):
① 治療予定(外来・点滴の頻度と所要時間)
② 体調の波(点滴翌日に疲れやすい等)
③ 仕事の負担(座り仕事/立ち仕事、対面か集中作業か)
④ 通勤手段と時間
⑤ 休んだ場合の収入と利用できそうな制度
⑥ 働きたい理由(生活のため・気持ちの支え等)。 - 書き方のコツ:『いつ/どれくらい/困ること』を短く書くと伝わりやすい(例:『点滴は週1回、所要半日。翌日はだるく外出を控えたい』)。
記入例(そのまま使える短いメモ)
具体例を見て、自分の言葉に置き換えてみてください。簡単なメモがあると相談がぐっと楽になります。
- 記入例A:治療予定→点滴週1回(外来含め半日)。体調→点滴翌日は強いだるさで予定を入れにくい。仕事→座り作業で集中は短時間が良い。通勤→往復で2時間。希望→点滴翌日は在宅で短時間の仕事に調整。
- 記入例B:治療予定→外来2〜3週ごと(半日)。体調→周期的に好不調あり。仕事→長時間の立ち仕事・対面が多い。通勤→片道90分。希望→移動負担を減らすためテレワークや時短を検討。
- 例からわかること:点滴翌日は予定を入れにくい、通勤時間が長いと疲労が増す、短時間集中作業ならできるが長時間立ち仕事は厳しい、など生活に直結する条件が見えます。
2. 主治医に伝えること・聞くこと
主治医へ相談するときは、判断メモを見せると話が早くなります。治療面での実務的な影響を確認し、働き方の試行に必要な助言をもらいましょう。
- 伝えるべき仕事情報:通勤時間、勤務時間帯、立ち仕事か座り仕事か、重要な会議や出張の有無、繁忙期のタイミング。
- 主治医に確認する事:点滴や治療の翌日の疲れやすさの傾向、通院日時の変更可否、在宅や時短勤務を想定したときの留意点。
- 留意点:副作用の出方は個人差があります。医師の見立てを参考にしつつ、実際の働き方は様子を見て調整しましょう。
3. 職場に伝える準備と具体的な伝え方
会社へ伝える際は診断名や病状を伝える事より、『いつ・どの業務が調整が必要か』を明確にすることが大切です。伝え方は短く事実ベースで。
- 優先して伝える内容:通院日・時間帯、調整が必要な業務(会議・顧客対応・出張等)、短期の休みや在宅を試したい旨。
- 上司向けの簡潔な例文:『通院のため×月×日は午後半休を取りたいです。点滴翌日は出社が難しいため、在宅で短時間作業にしたいです。調整方法について相談できますか?』
- 人事・総務向け:制度確認をしたい旨を伝える。『有給や休職、傷病手当について確認したいので、手続きの窓口を教えてください』の一文で話を始められます。
- 実務的な提案:重要会議は代行を立てる、繁忙期だけコア業務に集中する、週1回試し在宅を実施して様子を見るなど。
- 会社員とフリーランスの違い:会社員は有給や健康保険の傷病手当が適用される場合がある。フリーランスは納期調整や外注手配で対応するケースが多く、収入補填は自前での蓄えが中心になります。
4. 休む場合の収入と、相談先を確認する
仕事を休むことも選択肢に入れるなら、休んでいる間の収入を先に確かめておくと、判断しやすくなります。勤務先に有給休暇や休職制度の内容を聞き、加入している健康保険で傷病手当金の対象になるか確認しましょう。通院のために半休を取るだけで、必ず傷病手当金が支給されるわけではありません。
制度の条件は働き方や加入先によって異なります。勤務先や保険者に確認できるほか、仕事と治療の両立については、がん相談支援センターでも相談できます。
- 勤務先に確認する:使える休暇・休職制度、休んだ場合の給与、復帰時の手続き
- 加入先の健康保険に確認する:傷病手当金の対象になるか、申請方法
- 一緒に整理したいとき:がん相談支援センターに、仕事と収入について相談する
キャンエビのまとめ
- 「仕事を続けるか、休むか」を最初から決める必要はありません。治療が始まってからの体調も見ながら、働き方を調整できます。
- 治療予定、体調の変化、仕事や通勤の負担、休んだ場合の収入、働きたい理由を短いメモにすると、何を相談したいか整理しやすくなります。
- 主治医には仕事の内容と負担を伝えて、治療や体調の面から気を付けたいことを確認します。職場には、通院予定と調整したい業務、希望する働き方を相談します。
- 休むことも考えるなら、勤務先の休暇・休職制度と、加入している健康保険の傷病手当金を確認しましょう。一人で整理しにくいときは、がん相談支援センターにも相談できます。
参考文献
- 治療と仕事の両立について(厚生労働省)(公的資料)
- 治療と仕事の両立支援指針(ハンドブック等)(公的資料)
- 協会けんぽ 傷病手当金(公的資料)
- がんの相談(国立がん研究センター がん情報サービス)(公的な患者向け情報)
- 国立がん研究センター:認定がん相談支援センター 認定施設一覧(研究機関の公式発表)
ご注意:体調や副作用の出方は個人差があります。治療内容や安全面の具体的な相談は主治医に伝えて確認してください。公的制度の適用条件や手続きは保険者・勤務先で異なるため、各窓口で最新情報を確認しましょう。








