ホーム / それ、エビある? / なぜ、誤った医療情報ほどSNSで広まりやすいことがあるの?

なぜ、誤った医療情報ほどSNSで広まりやすいことがあるの?

なぜ、誤った医療情報ほどSNSで広まりやすいことがあるの?

タイムラインに「〇〇でがんが治る」と出会い、驚きと不安でついシェアしそうになった経験はありませんか。誤情報が広がる背景には「人の心理」と「SNSの仕組み」が重なって作用しているためで、誤情報が広がる背景には「人の心理」と「SNSの仕組み」が重なっていて、「だまされる人が悪い」という単純な話ではありません。

この記事では、なぜ誤った情報に心が動き、思わず誰かに伝えたくなるのかを、人の心理とSNSの仕組みの両面から見ていきます。がん・健康情報ならではの事情や、気になる情報を見かけたときの確認ポイントも紹介します。

なぜ「これ本当かも」と思ってしまう?

タイムラインで「〇〇でがんが治る。医師も認めた」という見出しを見て驚き、不安になり、すぐ誰かに知らせたくなる。こうした瞬間は、情報の内容だけではなく「受け取ったときの自分の状態」と「その投稿が呼び起こす感情」が大きく影響します。

感情が強い投稿(恐怖・驚き・怒り)は注意を引き、行動(いいね・シェア・コメント)を促します。加えて、治療への不安や希望が強いと、単純で明快な説明を歓迎しやすく、確証バイアスが働いて自分の期待に合う情報を優先的に受け取りがちです。

  • 感情の高まり=行動(シェア)を促す
  • 個人の不安や希望が情報の受け止め方を左右する

驚き、不安、希望。感情が動く情報は広がりやすい

新奇性(novelty):驚くような、予想外の内容は注目を集めやすく、研究は新奇な情報が共有されやすいことを示しています。ただし新奇であっても必ず誤情報とは限りません。

高覚醒の感情:恐怖や怒り、驚きといった『覚醒度の高い感情』は共有を後押しします。正確な情報でも感情を喚起すれば拡散し得ますが、誤情報はしばしば単純で感情的に訴える形を取りやすい点が問題です。

確証バイアス:自分が信じたい説明に合う情報を探し、受け入れやすくなる傾向。治療や予後で不安なときは、簡単な解決策を示す投稿が魅力的に見えます。単純で断定的な説明は、不確実な状況で安心感を与えるため受け入れられやすい一方、慎重で条件付きな説明は検証の余地を残すため広がりにくいことがあります。

社会的証明:いいねやシェア数が多いと『多数が支持している』ように見え、信頼の手がかりになりやすいです。

  • 新奇性→注目↑
  • 高覚醒感情→共有↑
  • 確証バイアス→偏った受容
  • 単純断定→安心感で拡散されやすい

SNSの仕組みも、情報の広がり方に関係する

SNSは投稿の『反応』を可視化し、反応の多い投稿が目立つ設計になっています。いいねやシェアといったエンゲージメントが高い投稿は、推薦や表示順位に反映されやすく、注目がさらに増えるというループが生じます。

重要な点は、アルゴリズムが常に誤情報を優遇するわけではないことです。研究は『人の反応(感情・共有行動)』とアルゴリズムの相互作用が拡散を促すと示しており、文脈やプラットフォームによって結果は変わります。

  • エンゲージメントの可視化→注目の増幅
  • 人の共有行動×推薦機能=拡散の加速(ただし一律の優遇ではない)

がんの情報では、なぜ特に注意したい?

JMIRの系統レビューなどは、健康・がん関連の誤情報が複数の研究で観察される一方、プラットフォームや病名によってばらつきが大きいと報告しています。つまり『必ずこうだ』という一律の結論は出せません。

健康情報は個人の命や治療判断に直結しやすく、感情的な影響が強い点が特徴です。がんは治療や予後への不安が大きくなりやすいテーマです。そんな状況では、「これで治る」といった単純で希望を感じさせる情報が強く目に入ることがあります。誤情報が実際の行動(受診先選びや治療の選択)に影響するリスクも指摘されています。

同時に、研究には時期・言語・測定法の差があり、COVID-19以降の変化など最新状況を踏まえた補足が必要です。

  • 健康誤情報は観察されるが、頻度は話題とプラットフォームで差が大きい
  • 生命に関わるため心理的影響が強く、誤情報が行動に結びつくリスクがある
  • 研究の限界—時期や方法の差に注意

気になる情報を見つけたら、まずここを確認

見かけた投稿を数分で点検するための現実的な項目をまとめます。まずは深呼吸して、すぐにシェアせず一時保存(下書き)する習慣を。

以下は厚生労働省eJIMなどの実務ガイドに基づく簡単チェックリストです。

  • 出典は明示されているか?(一次情報へのリンクがあるか)
  • 日付は新しいか/古い研究の再掲ではないか?
  • 発信者の肩書や所属は信頼できるか?(まずは「誰が発信している?」「根拠へのリンクはある?」「必ず治る、医師は教えない、など極端な表現ではない?」くらいで十分です。判断できなければ、がん情報サービスなどの公的情報で同じ内容が確認できるか見てみましょう。全てを自分だけで判定する必要はありません。)
  • 主張が単純すぎないか?(『必ず』や『全員に効く』など断定表現に注意)
  • 他の信頼できる情報源(医療機関、学術誌、国や公的機関)で裏取りできるか
  • 検索語の例:投稿の主要語句+「学術」「診療ガイド」「厚生労働省」「JAMA」「JMIR」など

「必ず治る」と「効果が示唆された」は全然違う

例1:(断定型):「〇〇でがんが治る。医師も認めた」— 新奇性・断定・権威の言及で注目を集めやすく、感情に訴え共有される可能性が高い。一方で出典が不明瞭なことが多い点に注意。

例2(慎重型):「一部の小規模研究で効果が示唆されていますが、追加の検証が必要です」— 条件付きで検証の余地を示すため、すぐには広がりにくいが、信頼性を判断する手がかりが残る。

確認ポイント:出典の一次情報(論文)を探す、サンプルサイズや研究デザイン、著者の所属をチェックする。

  • 断定型=広がりやすいが出典不明瞭の危険
  • 慎重型=慎重な表現だから正しいとは限りませんが、医療情報では研究の限界や不確実性も含めて説明されているかが、情報を見る一つの手がかりになります。

キャンエビのまとめ

  • 誤情報が広がるのは、人の心理(新奇性・高覚醒感情・確証バイアス)とSNSの表示設計(エンゲージメントの可視化や推薦機能)の相互作用が主な背景。
  • 研究は誤情報が正しい情報より拡散しやすい場面を示すが、効果の大きさや頻度はプラットフォームや話題(例:健康/政治)で異なるため一律の断定は避けるべき。
  • 健康・がん情報は個人的な不安と直結するため、単純で希望を与える誤情報に惹かれやすく、慎重な確認が特に重要。
  • 短時間で使えるチェックリスト(出典・日付・発信者・一次情報へのリンク・他ソース確認)を習慣化すると、誤情報に振り回されるリスクを減らせる。

参考文献

  1. オンライン医療情報の見極め方・向き合い方 (eJIM) — 厚生労働省(公的資料、2025-06-01)
  2. Prevalence of Health Misinformation on Social Media: Systematic Review(系統的レビュー、2021-01-20)
  3. Where We Go From Here: Health Misinformation on Social Media(レビュー論文、2020-10-01)
  4. The spread of true and false news online(Science掲載の研究論文、2018)
  5. What Makes Online Content Viral?(Journal of Marketing Research掲載の研究論文、2012)

広告

いつもの散歩に、好きな音楽を

耳をふさがず、周囲の音も聞こえるイヤホン
外の空気を感じながら楽しもう

広告

待ち時間は、好きな音楽に浸ろう

ノイズキャンセリング搭載
通院中も、音楽や映画を楽しもう

Category List