がんの治療中、知りたいことは次々に出てきます。治療や副作用のことだけでなく、仕事や家事、お金のことまで。けれど、必要な情報を探すのは、思った以上に大変なことがあります。
日本のがんサバイバー350人を対象とした調査では、治療中のグループは積極的に情報を集めている一方で、情報探しの難しさも強く感じていました。この記事では、調査から見えてきたことと、必要な情報に無理なくたどり着くための工夫を紹介します。
研究からわかった主要な数字(350人調査のポイント)
この調査は2024年12月に実施された横断のウェブ調査で、350人の日本人がんサバイバーを対象としています。横断研究のため関連の観察は示せますが、因果関係の断定はできません。
主な結果は次の通りです(調査報告に基づく):
どんな情報を探していた?
- 自分の病気について:75.7%
- 治療について:68.6%
- 経過・予後について:55.4%
- 治療費について:38.9%
- 治療中の生活:36.0%
なお、30.0%(105人)は、がんについて情報を検索していないと回答しました。この調査だけでは、検索しなかった理由までは分かりません。
どこから情報を得ていた?
- インターネット・SNS:58.9%(206/350)
- 医師・看護師:50.6%(177/350)
- 国立がん研究センターのウェブサイト:15.4%(54/350)
- がん相談支援センター:7.4%(26/350)
また、分析で分けられたグループのうち、治療中の人たちは積極的に情報を集めている一方で、情報探索の困難さも強く感じていました。ただし、この350人が日本のすべてのがん患者を代表しているわけではありません。ウェブ調査で、診断から1年以上経過した人が対象となっており、ステージ1・2の参加者が比較的多いなどの偏りがあります。サンプルはウェブパネル由来であるため、インターネット非利用者への一般化には注意が必要。
情報探しに疲れたら、別の方法もある
知りたいことがあるのに、検索結果をいくつも読んでいるうちに、かえって分からなくなることもあります。そんなときは、無理をして検索を続けなくても大丈夫です。
例えば、国立がん研究センターの「がん情報サービス」で知りたいテーマを確認したり、がん相談支援センターに相談したりする方法があります。がん相談支援センターでは、治療中の生活や仕事、お金のことなども相談できます。
「何から調べればいいか分からない」という相談でも構いません。必要な情報をすべて自分で探し出そうとせず、人に聞くことも選択肢に入れてみてください。
情報を届ける側にも、できることがある
調査の観察から考えると、情報ニーズが高くても探索が難しい人がいることが示唆されます。情報提供側は、それを前提に“短く情報にたどり着ける”工夫があると患者の負担を下げられます。
具体例としては、記事や案内の冒頭に要点(結論)を1〜2行で示す、Q&A形式で短く答える、『まずはこちら』ボタンで一番基礎的な回答へ飛べる導線を作る、窓口に来る人向けの短い問い合わせ文例を表示する、などが挙げられます。こうした工夫は、情報ニーズが高い人が探索に苦しむ場面を減らす助けになります。
サイト・案内者向けの実践例
- 冒頭に要約(1〜2行)と『もっと詳しく』などのリンクをつける
- Q&Aでよくある質問を簡潔にリスト化する
- 問い合わせ窓口で使える短い問い合わせ文のテンプレートを用意する
キャンエビのまとめ
- 日本のがんサバイバー350人の調査では、30%ががん情報を検索していませんでした。
- 一方、治療中のグループは積極的に情報を集めていながら、情報探しの難しさも強く感じていました。
- 必要な情報をすべて患者自身が探し、整理し、判断することを前提にするのではなく、医療者や情報提供側が「必要な情報にたどり着きやすくする」ことも大切です。
参考文献
- Information-Seeking Patterns and Communication Preferences Among Japanese Survivors With Cancer: Cross-Sectional Analysis(横断研究、2026-05-28)
- がんの相談(がん相談支援センターの案内)(公的な患者向け情報、2024-07-08)
- がん情報サービスサポートセンターのご案内(公的な患者向け情報)
- がん相談支援センターとは(説明ページ)(公的な患者向け情報)
- がん相談支援センターは全国に設置されています(厚生労働省関連・説明)(公的資料)








