がんの治療中は、吐き気や口内炎、味やにおいの変化、疲れなどによって、食べることが難しい日があります。
そのような日は、いつもの量や栄養バランスにこだわりすぎなくても大丈夫です。食べられそうな時間に、食べられそうなものを少量ずつ試す方法があります。吐き気が強いときは、無理に食べず、症状が落ち着くのを待ってみましょう。
この記事では、症状に合わせた食べ方と、準備の負担が少ないメニューの例を紹介します。
食べられる時間に、食べられるものから
食欲や食べやすさは、日によっても時間帯によっても変わります。3食を決まった時間に食べることにこだわらず、体調のよい時間に少量ずつ食べる方法もあります。
「栄養のあるものを食べなければ」と考えるほど、食事が負担になることもあります。医療者から特別な指示を受けていなければ、まずはそのとき食べられそうなものを優先してみましょう。
症状によって、食べやすいものは変わります
吐き気やにおいが気になるとき、口内が痛むとき、味が変わっているときは、それぞれ向く食べ方があります。まずは一口だけ試して、無理がなければ少しずつ増やすと見つけやすくなります。
- 食欲がないとき:食べられそうな時間に、少量ずつ。おにぎり、うどん、ヨーグルト、プリンなど、準備しやすいものから選びます。
- 吐き気やにおいが気になるとき:温かい料理のにおいがつらければ、冷ました料理や冷たいものが食べやすい場合があります。吐き気が強いときは無理に食べず、水分が取れるかを確認します。
- 口内炎や口の痛みがあるとき:豆腐、茶わん蒸し、プリン、ポタージュなど、やわらかく滑らかなものが向く場合があります。熱いもの、辛いもの、酸味の強いものはしみることがあります。
- 味やにおいが変わったとき:温度、味付け、食器などを変えると食べやすくなることがあります。以前好きだったものにこだわらず、その日に食べやすいものを探します。
- 飲み込みにくいとき:やわらかく、まとまりやすいものが食べやすい場合があります。むせる、せき込む、のどにつかえる感じがあるときは、食べ物の形や硬さについて主治医や看護師に相談してください。
準備の負担が少ないメニューの例
食欲がない日は、すべてを手作りする必要はありません。市販品や冷凍食品も使いながら、そのとき食べられそうなものを選びましょう。
- 茶わん蒸し:やわらかく、卵からたんぱく質も取れます。温かいにおいが気になるときは、冷まして食べると食べやすい場合があります。具が食べにくければ、具の少ないものを選べます。
- 豆腐入りスープ:市販のスープやだしに豆腐を加えるだけでも作れます。温かいものがつらいときは、少し冷ましてから試してみましょう。
- ヨーグルトと果物:冷たいものが食べやすいときに、準備の負担が少ない組み合わせです。口内炎がある場合は、酸味の強い果物がしみることがあります。
- 卵や豆腐を加えたやわらかいうどん:麺をやわらかめに煮て短くすると、噛む負担を減らせます。卵や豆腐を加えると、たんぱく質も一緒に取れます。
- プリンやゼリー:食事らしいものがつらいときでも、口にしやすい場合があります。商品によって含まれる栄養は異なるため、その日に食べられそうなものを選びます。
一度にたくさん用意せず、小さな器に少量だけ盛ると、見た目の負担を減らせることがあります。
調理と保存の簡単な工夫
調理の手間を減らすには、材料をまとめて下ごしらえして小分けにしておくと便利です。必要なときに温めるだけにできます。
食品の扱いは普段より注意が必要です。調理後は冷ます時間を短くし、冷蔵保存は早めに行い、再加熱は十分に行うことを意識してください。
- 下ごしらえをまとめて小分け保存すると、調理負担が減ります。
- 調理後はできるだけ早めに冷まして冷蔵する、再加熱は十分に行うと安全性が高まります。
- 治療内容や検査結果によって、食品の選び方について病院から指示を受けることがあります。その場合は、病院から案内された注意事項を優先してください。
食事や水分が取れないときは相談を
食事や水分がほとんど取れない、急な体重の減少、強い嘔吐や高熱が続くときは主治医や病院窓口に相談できます。
相談するときは短く要点を伝えると話が進みやすくなります。食事内容については、必要に応じて管理栄養士へ相談できます。飲み込みにくさがある場合は、まず主治医や看護師に伝えると、状態に応じた対応を案内してもらえます。
- 伝えるときの要点例:いつから食べにくいか、水分はどれくらい取れているか、体重の変化の有無、口やのどの痛みの有無など。
- 相談先の例:まずは主治医や担当看護師、病院の外来窓口に相談します。食事内容や栄養について詳しく確認したい場合は、管理栄養士への相談が可能か尋ねることもできます。
キャンエビのまとめ
- 食欲がない日は、いつもの量や栄養バランスにこだわりすぎず、食べられそうな時間に食べられそうなものを選んでみましょう。
- 吐き気やにおいが気になるときは冷ましたもの、口内炎があるときはやわらかく刺激の少ないものなど、症状に合わせて食べ方を変えると楽になる場合があります。
- 手作りにこだわらず、市販の茶わん蒸し、ヨーグルト、プリン、冷凍うどんなども利用できます。
- 吐き気が強いときは無理に食べず、水分が取れているかを確認しましょう。食事や水分がほとんど取れない状態が続く場合は、主治医や担当看護師、病院の窓口に相談してください。
参考文献
- がん患者診療のための栄養治療ガイドライン 2024年版 ― 総論編 ―(診療ガイドライン、2024-03-01)
- 口内炎・口内の乾燥(がん情報サービス/国立がん研究センター)(公的な患者向け情報)
- 家庭での食中毒予防(厚生労働省)(公的資料)
- 口内炎・食道炎(国立がん研究センター東病院 患者向けページ)(医療機関の患者向け案内)
- がん治療中の食事(食欲がないときに食べやすいものと食べ方の工夫)(医療者監修サイト、2026-06-01)
- 抗がん剤治療中の味覚の変化とのつきあい方(患者向けパンフレット/相澤病院)(医療機関の患者向け案内、2026-05-01)








