「走ったらウィッグがずれそう」「ダンスで回転したら飛んでいかない?」「ジムで汗をかいても大丈夫?」
治療でウィッグを使うことになっても、ランニングやジム、ダンスなど、好きだったスポーツを続けたい人はいると思います。普段の外出では問題なくても、走る、跳ぶ、回るとなると、さすがにちょっと心配です。
では、「絶対にずれないウィッグ」はあるのでしょうか。さすがに「絶対」は保証できませんが、普通の医療用ウィッグでもずれにくくする方法はあります。そして調べてみると、さらにその先の、スポーツをすること自体を前提に開発された医療用ウィッグもありました。
まずは、今のウィッグをずれにくくする
スポーツをしたいからといって、いきなり特別なウィッグへ買い替える必要はありません。まず確認したいのは、今のウィッグのサイズが頭にきちんと合っているか。アジャスターを調整しても動いてしまうなら、滑り止め付きのインナーキャップや固定バンドを追加する方法があります。
たとえばAQUADOLLでは、内側にシリコン100%の滑り止め、外側にウィッグを固定するための面ファスナーが付いたインナーキャップを販売しています。暑い時期向けには、同じ仕組みの涼感タイプもあります。
ネットで探す場合は、「医療用ウィッグ シリコン 滑り止め」「ウィッグ 滑り止め インナーキャップ」「ウィッグ ずれ防止 バンド」などで検索すると、いろいろな商品が見つかります。
※強風の日の固定方法については、別記事「風の強い日にウィッグが飛ばされないようにするには?」でも詳しく紹介しています。
ランニングやダンスでは「汗」も問題になる
スポーツでは、ずれにくさだけでなく汗や蒸れも気になります。ウォーキングなら普段のウィッグで問題なくても、ランニングやダンスでは頭にもかなり汗をかきます。滑り止め付きインナーキャップを選ぶ場合も、固定力だけでなく通気性や吸汗性、締め付け感を確認した方がよさそうです。
ウィッグ本体にも汗は付きます。頻繁にスポーツをするなら、洗いやすさや乾きやすさも重要です。「絶対にずれない!」だけで選んだら、今度は暑くて運動どころではなかった、では困ります。
固定力をさらに上げたい場合には、ウィッグ用テープという方法もあります。ただし治療中は頭皮が敏感になることもあるので、強く固定することだけを優先せず、自分の頭皮に合う方法を選びましょう。
試着するときは、ちょっと動いてみよう
スポーツ目的でウィッグを選ぶなら、鏡の前でじっと立った状態だけで試着を終わらせるのはもったいないかもしれません。お店で可能なら、頭を左右に振る、下を向く、軽くジャンプするなど、実際の運動に近い動きをしてみると、フィット感を確認しやすくなります。
ランニングをしたいなら「走りたい」、ダンスなら「ターンやジャンプをしたい」と最初からスタッフに伝えてしまうのもいいでしょう。スポーツの種類によって、頭を動かす方向も汗の量も違います。
「スポーツ専用」の医療用ウィッグもある
もっと激しく動きたい人向けには、スポーツをすること自体を前提に開発された医療用ウィッグもあります。
たとえば株式会社ハリイ(harih)は、「スポーツウィッグ®」という医療用ウィッグを開発しています。代表者自身が脱毛症でウィッグを使った経験から開発されたもので、スポーツ時のずれや蒸れ、締め付けなどを考慮した設計になっています。
特徴のひとつが、体温によって形がなじむ素材「HUMOFIT®」や、スポーツウェアの技術を応用した無縫製3Dニットの採用です。メーカー公式サイトでは、両面テープやボンドを使わずに固定し、ブリッジのような大きな動きもできると紹介されています。また、医療用ウィッグの品質基準「JIS S 9623」にも適合しています。
既製品とオーダーメイド、どちらもある
Sportswig®には、一人ひとりに合わせて製作するオーダーメイドのほか、気軽に試したい人向けの既製品も用意されています。
ただし、スポーツの種類や頭の形、治療中の頭皮の状態によって適した製品は変わります。詳しい仕様や、自分のやりたいスポーツに使えるかどうかは、メーカーに直接問い合わせて確認するのがよさそうです。
今回調べた範囲では、国内で「スポーツ専用」を明確に打ち出し、抗がん剤治療による脱毛にも対応する医療用フルウィッグとして確認できたのがharihでした。ただし、これ以外に同様の製品が存在しないという意味ではありません。
「治療中だから」で、好きだったことまで諦めなくてもいい
治療前から続けていたランニングやダンス、スポーツは、単なる運動ではないかもしれません。長く続けてきた趣味だったり、仲間と会う場所だったり、自分らしさの一部だったりすることもあります。
軽い運動なら、今のウィッグに滑り止めを加えてみる。もっと動きたいなら固定方法を工夫する。それでも不安なら、スポーツを前提に作られたウィッグまで選択肢を広げてみる。
ウィッグを使うことになったからといって、好きだったスポーツまで一緒に諦める必要はありません。「ウィッグに合わせてやりたいことを減らす」のではなく、「やりたいことに合うウィッグを探す」という考え方もあります。
キャンエビのまとめ
- 「絶対にずれない」と保証できるウィッグはありませんが、ずれにくくする方法はいくつもあります。
- 普段の医療用ウィッグでも、サイズ調整やシリコン付きインナーキャップ、固定バンドなどで安定させられる場合があります。
- スポーツでは固定力だけでなく、汗、蒸れ、締め付け、洗いやすさも重要です。
- 本格的にスポーツを続けたい人向けには、スポーツ専用設計の医療用ウィッグという選択肢も登場しています。
- 今回調べた国内製品では、harihの「スポーツウィッグ®」が抗がん剤治療による脱毛も対象として明記しています。
- どの方法が合うかは、やりたいスポーツや頭皮の状態、予算などに合わせて考えてみましょう。
この記事について
キャンエビは、この記事で紹介したメーカーから広告料・商品提供等は受けていません。本記事では、スポーツをしたい人が選べるウィッグの一例として、各メーカーが公開している情報をもとに製品を紹介しています。
参考資料
- 株式会社ハリイ「スポーツウィッグ®」公式サイト
スポーツウィッグの構造、開発背景、HUMOFIT®の採用、JIS S 9623への適合など。 - 株式会社ハリイ「スポーツウィッグ®がJIS S 9623に適合」
第三者試験機関による試験内容、抗がん剤治療による脱毛への対応など。 - 株式会社ハリイ「スポーツやレジャーを思いっきり楽しめる『スポーツウィッグ®』が完成」
スポーツ用途や、ブリッジなど大きな動きを想定した使用例。 - AQUADOLL「ウィッグ用滑り止め付きインナーキャップ」
シリコン100%の滑り止めとウィッグ固定用の面ファスナーを備えたインナーキャップ。 - AQUADOLL「ウィッグ用滑り止め付き涼感インナーキャップ」
シリコン製滑り止めに加え、接触冷感素材を使用したタイプ。 - アデランス「医療用ウィッグ BE-Rafra」
シリコン付きアンダーキャップや、汗・ムレ、フィット感に配慮した医療用ウィッグについて。








