CTやMRI、PETなどの検査が近づくと、ふとした瞬間に結果のことを考えてしまう。検査の前日はなかなか眠れず、検査が終わっても、結果を聞くまでは落ち着かない。そんな経験はありませんか。
がん患者やがん経験者が、画像検査の前後に感じる不安には「スキャンザイエティ(scanxiety)」という名前があります。英語のscan(画像検査)とanxiety(不安)を組み合わせた言葉で、検査前だけでなく、検査当日や結果を待つ間の不安も含みます。
海外では、このスキャンザイエティについて、どのくらいの人が経験しているのか、いつ不安が強くなるのか、どのような対処法が役立つのかといった研究が行われています。
スキャンザイエティは、どのくらい多い?
2021年に発表された57件の研究をまとめた報告では、画像検査に伴う不安は、さまざまながん種や検査で報告されていました。
ただし、経験する人の割合には研究ごとに大きな違いがあります。何らかの不安を感じた人の割合は13〜83%、一定の基準を超える強い不安を感じた人の割合は0〜64%と、かなり幅がありました。これは、研究によって不安の測定方法や対象となる患者が異なるためです。
そのため、「がん患者の何%がスキャンザイエティを経験する」と一つの数字で示すことはできません。それでも、検査に伴う不安が多くの患者に共通する問題であることは、複数の研究からうかがえます。
不安が強くなる時期として報告されているのは、検査前、検査当日、結果を待つ期間などです。特に、検査を終えてから結果を知らされるまでの時間をつらいと感じる人もいます。
不安が強いときには、眠れない、動悸がする、物事に集中しにくいといった変化が現れることもあります。
なぜ検査が近づくと、不安になるの?
大きな理由の一つは、再発や病状の進行への恐れです。画像検査の結果によって、治療を続けるのか、変更するのか、経過観察を続けられるのかといった今後の方針が変わることもあります。そのため、検査の結果が気になるのは当然のことです。
また、検査そのものよりも、結果を待つ時間がつらいという人もいます。患者へのインタビューを分析した研究でも、結果が分からない期間の不安が繰り返し語られています。よい結果を聞いて安心しても、次の検査が近づくと再び不安になるという経験も報告されています。
検査自体への不安もあります。MRIの狭い空間が苦手だったり、検査中に長時間じっとしていることが負担だったり、造影剤の使用が心配だったりする場合です。以前の検査で悪い結果を告げられた経験があれば、次の検査が近づいたときに、その記憶がよみがえることもあるでしょう。
このように、スキャンザイエティには、検査の手順そのものへの不安と、検査結果への不安という、異なる側面があります。
検査前や結果待ちの時間を、どう過ごす?
スキャンザイエティに特化した対処法については、まだ研究が限られています。これまでに、リラクゼーション、気を紛らわせる活動、検査についての情報提供、心理的な支援などが試されていますが、どの方法が最も効果的なのかは、十分に明らかになっていません。
ただ、検査前や結果待ちの時間を少しでも過ごしやすくするために、試せることはあります。
検査や結果説明の予定を確認しておく
検査にどのくらい時間がかかるのか、結果はいつ、どのように知らされるのかを確認しておくと、予定を立てやすくなります。結果説明の診察日が決まっていない場合は、いつ頃になるのか聞いておくとよいでしょう。
自分に合った過ごし方を見つける
音楽を聴く、映画を見る、散歩をする、友人と話すなど、気が紛れる活動を取り入れる方法もあります。患者へのインタビュー研究でも、こうした方法で検査前や結果待ちの時間を過ごしている人が報告されています。
もちろん、何かをしていれば不安が消えるわけではありません。無理に気を紛らわせようとする必要もなく、自分が過ごしやすい方法を選ぶことが大切です。
検査そのものが不安なら、事前に相談する
MRIの狭い空間が苦手、造影剤について心配がある、以前の検査でつらい経験をしたなどの場合は、検査前に担当の医師や看護師へ伝えておきましょう。検査の進め方や対応できることについて相談できます。
誰かに話を聞いてもらう
結果を待つ間の不安を、家族や友人に話すことも一つの方法です。ただし、励ましてほしい人もいれば、あれこれ助言されるより、普段どおりに接してほしい人もいるでしょう。
例えば、「検査結果が出るまで落ち着かないから、少し話を聞いてほしい」「今はアドバイスより、いつもどおり一緒に過ごしてくれるとうれしい」など、自分がしてほしいことを具体的に伝えてみてもよいかもしれません。
不安が強く、日常生活に影響しているときは
検査の前後に不安を感じることは珍しくありません。しかし、眠れない日が続く、仕事や家事に集中できない、不安が強くて日常生活に支障が出ているといった場合は、主治医や看護師に相談してみましょう。
がん相談支援センターでも、検査や治療に伴う不安について相談できます。また、精神腫瘍科や心理士など、がん患者の心のケアを専門とする人たちによる支援もあります。
スキャンザイエティそのものに特化した対処法の研究はまだ限られていますが、がん患者の不安に対しては、認知行動療法などの心理的支援についても研究が行われています。
キャンエビのまとめ
- スキャンザイエティとは、CTやMRIなどの画像検査の前後や、結果を待つ間に感じる不安のこと。
- さまざまながん患者にみられる反応で、検査結果への心配だけでなく、検査そのものへの不安も含まれる。
- 検査の予定や結果説明の時期を確認する、気が紛れる活動を取り入れる、誰かに話すなど、自分に合った方法を試してみる。
- 不安が強く、睡眠や日常生活に影響している場合は、主治医や看護師、がん相談支援センターなどに相談できる。
参考文献
- Scan-Associated Distress in People Affected by Cancer: A Qualitative Systematic Review(レビュー論文、2023-10-01)
- Managing Scanxiety During Your Cancer Treatment(医療機関の患者向け案内)
- How to Cope With Scanxiety(米国がん協会の患者向け情報、2026-05-01)
- Scanxiety: a scoping review about scan-associated anxiety(系統的レビュー、2021-05-26)
- Scanxiety among Adults with Cancer: A Scoping Review to Guide Research and Interventions(系統的レビュー、2022-07-01)








