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自分に足りていない栄養って、どうすれば分かる?

「最近疲れやすいけれど、何か栄養が足りないのかな?」そんなとき、血液検査をすれば自分に足りない栄養素が全部分かるのでしょうか。

実は、栄養状態はそれほど単純には分かりません。血液検査で調べやすいものもありますが、血液中の数値だけでは判断しにくいものもあります。また、食事の量や体重の変化、病気や炎症、飲んでいる薬などによっても検査値は変わります。では、自分の栄養状態を知りたいときは、何を見ればいいのでしょうか。

疲れや口内炎だけで「○○不足」と分かる?

「疲れやすいから鉄不足かも」「口内炎ができたからビタミン不足?」「爪が割れやすいから何か足りない?」。体に変化があると、栄養不足を疑いたくなることがあります。

実際に、鉄やビタミンなどの不足によって症状が現れることはあります。ただし、同じような症状は栄養不足以外でも起こります。たとえば疲労なら、貧血だけでなく、睡眠不足、感染症、慢性的な炎症、病気や薬の影響など原因はさまざまです。口内炎や髪・爪の変化についても、「この症状がある=この栄養素が不足している」と一つに決めることはできません。

症状は栄養状態を考える手がかりの一つ。でも、それだけで不足している栄養素を特定するのは難しい、ということです。

血液検査なら分かる?

血液検査で評価しやすいものもあります。たとえば鉄の状態を調べるときには、ヘモグロビンだけではなく、フェリチンやトランスフェリン飽和度(TSAT)などが判断材料になります。ビタミンB12や葉酸なども、必要に応じて血液検査で調べることがあります。

ただし、ここにも少し注意が必要です。たとえばフェリチンは体内の鉄の状態を見る重要な指標ですが、炎症があると値が高くなることがあります。そのため、フェリチンだけを見て「鉄は十分」と判断できない場合があります。ビタミンB12も血液中の濃度が判断材料になりますが、結果によっては別の検査を組み合わせて確認することがあります。

さらに、血液中の量と体全体の状態が必ずしも一致しない栄養素もあります。よく例に挙げられるのがマグネシウムです。体内のマグネシウムの多くは骨や組織などにあり、血液中に存在するのは一部です。そのため、血清マグネシウムの値だけでは体内の状態を十分に把握できない場合があります。

つまり、血液検査は重要な手がかりですが、一つの数値ですべての栄養状態が分かるわけではありません。

では、自分の栄養状態はどうやって調べる?

栄養状態を見るときは、血液検査だけではなく、食事量や体重の変化、症状、病気や薬など、いくつかの情報を組み合わせて考えます。

まず分かりやすいのが、最近の食事量です。以前と比べて食べる量が減っていないか、食べられない食品が増えていないかは重要な情報になります。「最近の食事をよく覚えていない」という場合は、数日分だけでも食べたものをメモしておくと、医師や管理栄養士に相談するときの材料になります。細かなカロリー計算までしなくても、「朝はパン半分」「昼はほとんど食べられなかった」といった記録でも食事量の変化を振り返れます。

体重の変化も大切な手がかりです。特に、ダイエットをしているわけではないのに体重が減っている場合は、「現在何kgか」だけではなく、「以前からどのくらい減ったか」も重要です。国際的な低栄養の評価基準でも、意図しない体重減少は重要な評価項目の一つになっています。

さらに、病気や炎症、薬の影響も考える必要があります。食事をとっていても、病気や炎症によって栄養状態が変化することがあります。また、薬によって食欲が落ちたり、吐き気、下痢、味覚の変化などが起こり、結果として食事量が減ることもあります。

こうした情報から特定の栄養素の不足が疑われた場合には、必要に応じて血液検査などを行います。すべてのビタミンやミネラルを一度に調べるというより、食生活や症状などから必要なものを絞って調べるイメージに近いでしょう。

がん治療中は、さらに少し複雑

がん治療中の場合は、栄養状態の見方がさらに少し複雑になります。がんそのものや炎症の影響に加えて、手術、抗がん剤、放射線治療などによって食欲や食事量が変わることがあります。吐き気、口内炎、味覚の変化、飲み込みにくさなどで、以前と同じように食べられなくなることもあります。

ESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)のがん患者向けガイドラインでも、栄養状態を見る際には、食事摂取量や体重変化、BMIなどを確認し、問題がある場合には筋肉量や身体機能、炎症なども含めて詳しく評価することが推奨されています。

つまり、治療中の栄養状態は、「採血のこの数字が低いから、この栄養素を足せばいい」だけでは判断できないことがあります。体重が減ってきた、食べられる量がかなり減った、特定の食品しか食べられなくなった――そんな変化も、採血結果と同じように相談するときの大切な情報になります。

アルブミンが低い=栄養不足?

血液検査の「アルブミン」を栄養状態の目安として見たことがある人もいるかもしれません。アルブミンが低いときに栄養状態が関係していることはありますが、アルブミンは炎症、肝機能、体液の状態などさまざまな影響を受けます。

そのため、アルブミンが低い=タンパク質不足、と単純に判断することはできません。これも、栄養状態を一つの検査値だけで判断しにくい例の一つです。

「足りないかも」と思ったら、とりあえずサプリ?

「不足している可能性があるなら、サプリで補っておけばいいのでは?」と思うかもしれません。ただ、栄養素は多ければ多いほどよいわけではありません。サプリメントには、摂りすぎが問題になるものや、薬との組み合わせに注意が必要なものもあります。

特に治療中で薬を使用している場合は、サプリメントを追加する前に主治医や薬剤師に確認しておくと安心です。不足しているか気になる場合は、まず「何が不足している可能性があるのか」を確認してから考える方がよいでしょう。

結局、何から確認すればいい?

「自分に何が足りないのか知りたい」と思ったら、まずは次のような情報が手がかりになります。

  • 最近、食べる量が減っていないか
  • 数週間〜数か月で体重が変わっていないか
  • 食べられない理由や気になる症状がないか
  • 飲んでいる薬やサプリメントは何か
  • 健康診断や通院時の血液検査で気になる項目がないか

このあたりが分かるだけでも、医師や管理栄養士に相談するときの材料になります。病院によっては管理栄養士による栄養相談を受けられることもあります。

キャンエビのまとめ

  • 自分に足りない栄養素を、一つの症状だけから特定することはできません。
  • 鉄やビタミンB12、葉酸など、血液検査が判断材料になる栄養素もあります。
  • 一方で、血液中の数値だけでは体内の状態を把握しにくい栄養素もあります。
  • 栄養状態は、食事量、体重変化、症状、病気や炎症、薬、必要な血液検査などを組み合わせて考えます。
  • がん治療中は、治療や炎症によって食事量や検査値が変わることもあるため、「最近どのくらい食べられているか」「体重が変わっていないか」も大切な情報です。

「何となく調子が悪いから、何か栄養が足りないのかも」と思ったとき、答えは必ずしも一つの血液検査の中にあるわけではありません。普段の食事や体重の変化も含めて見ていくと、「何を調べればいいのか」が少しずつ見えてきます。

参考文献

  1. ESPEN practical guideline: Clinical Nutrition in cancer(診療ガイドライン、2021年)
  2. The GLIM consensus approach to diagnosis of malnutrition: A 5-year update(コンセンサスアップデート、2025年)
  3. GLIM Criteria for the Diagnosis of Malnutrition: A Consensus Report From the Global Clinical Nutrition Community(コンセンサス報告)
  4. British Society of Gastroenterology guidelines for the management of iron deficiency anaemia in adults(診療ガイドライン)
  5. Vitamin B12 — Health Professional Fact Sheet|NIH Office of Dietary Supplements(公的資料)
  6. Challenges in the Diagnosis of Magnesium Status(レビュー論文)
  7. Interpretations of the Role of Plasma Albumin in Prognostic Indices: A Literature Review(レビュー論文)

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