会社員など、勤務先の健康保険に加入している本人が、がん治療などのために働けず、給与を十分に受け取れない場合は、傷病手当金を受け取れることがあります。
傷病手当金は治療費を補助する制度ではなく、仕事を休んでいる期間の生活を支える制度です。がんと診断されたからといって、すぐに退職する必要があるわけではありません。まずは勤務先の休暇・休職制度や、治療と仕事を両立できる働き方があるかを確認できます。
傷病手当金は、仕事を休んでいる間の生活を支える制度です
傷病手当金は、病気やけがで働けない間の生活(給与の代替)を支えるための健康保険の給付であり、医療費そのものの補助ではありません。
主な対象は協会けんぽ・健康保険組合・共済組合などの被用者保険の被保険者です。国民健康保険(市区町村が運営する国保)の加入者は原則として対象外です。被扶養者は、被保険者(給与で保険料を納めている人)ではないため、原則として支給対象とならない点を理解してください。
制度の細かい運用(申請書様式や事業主欄の取扱い、給与扱いとの調整など)は保険者ごとに異なるため、最終的な可否や手続き方法は必ず加入する保険者の窓口で確認してください。
ここが要点
傷病手当金は医療費の補助ではなく、病気やけがで働けない期間の収入を補う制度です。主に、勤務先の健康保険に加入している本人が対象です。
がんと診断されても、すぐに退職する必要はありません
がん治療が始まっても、必ず仕事を辞めなければならないわけではありません。体調や治療予定、仕事の内容によっては、有給休暇、勤務先の休職制度、短時間勤務、勤務時間や業務内容の調整などを利用しながら、雇用を継続できる場合があります。
傷病手当金も、在職したまま療養のために仕事を休み、給与を十分に受け取れない期間に利用できる制度です。
利用できる休暇や休職期間、復職の条件、休職中の社会保険料などは勤務先によって異なります。退職を考える場合も、先に勤務先の制度と傷病手当金の条件を確認してから判断できます。
ここが要点
傷病手当金を利用するために退職する必要はありません。在職したまま休職や働き方の調整を検討できる場合があります。
傷病手当金を受け取るための主な条件
傷病手当金を受け取るには、主に次の条件を満たす必要があります。
- 業務外の病気やけがの療養のために休んでいる
- それまで行っていた仕事に就けない状態である
- 連続する3日間を含め、4日以上仕事を休んでいる
- 休んだ期間の給与が支払われていない、または傷病手当金より少ない
入院している場合に限らず、通院治療や自宅療養でも対象になることがあります。仕事ができる状態かどうかは、医師の意見、本人の仕事内容や勤務状況などを踏まえて、加入している健康保険が判断します。
支給額は、原則として標準報酬月額を基に計算した1日当たりの金額のおおむね3分の2です。同じ病気やけがについて、支給開始日から通算して1年6か月まで支給されます。
ここが要点
仕事に就けない状態かどうかは、医師の意見や本人の仕事内容などを踏まえて判断されます。給与が支払われている場合は、支給されないか、差額のみが支給されることがあります。
傷病手当金の申請には、勤務先と医師の記入が必要です
一般的な申請書には、本人が記入する欄のほか、休業期間や給与の支払い状況を勤務先が証明する欄、仕事に就けなかった期間について医師が意見を記入する欄があります。
申請書は、加入している健康保険のウェブサイトや勤務先などから入手できます。通常は、申請する期間が過ぎた後に、勤務先と医師に必要事項を記入してもらって提出します。
申請方法や提出先は加入している健康保険によって異なるため、勤務先の担当者や保険者に確認できます。
退職後も受け取れる場合がありますが、条件があります
在職中に傷病手当金を受け取っていた人が退職する場合、一定の条件を満たせば、退職後も残りの支給期間について受け取れることがあります。
協会けんぽでは、主に次の条件が示されています。
- 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある
- 退職時点で傷病手当金を受け取っているか、受け取れる条件を満たしている
- 退職後も引き続き仕事に就けない状態である
退職日に出勤すると、退職後の継続給付を受けられない場合があります。また、退職後に初めて傷病手当金を申請すれば必ず受け取れる、という制度ではありません。
退職すると勤務先の休職制度や復職の選択肢も失われます。退職を考えている場合は、退職日を決める前に、勤務先と加入している健康保険へ条件を確認することが大切です。
キャンエビのまとめ
- 傷病手当金は、がん治療などで仕事を休み、給与を十分に受け取れない期間の生活を支える制度です。
- 主に、勤務先の健康保険に加入している本人が対象で、一定の条件を満たすと、1日当たりおおむね給与の3分の2に相当する金額が、通算1年6か月まで支給されます。
- 傷病手当金を利用するために退職する必要はありません。在職したまま、休職や働き方の調整を検討できる場合があります。
- 退職後も継続して受け取れる場合がありますが、被保険者期間や退職日の勤務状況などに条件があります。退職を考えている場合は、退職日を決める前に条件を確認することが大切です。
参考文献
ご注意
この記事は一般的な実用ガイドです。給付の可否や金額の算出は加入している保険者の運用に依存します。最新の詳細は加入保険者の公式案内や窓口で確認してください。生活資金に急ぎの問題がある場合は、社会福祉協議会や病院のソーシャルワーカーにも早めに相談してください。






