がんの体験談には、治療を受けた人にしか分からない気持ちや、通院・入院を乗り切るための工夫が書かれています。同じ悩みを持つ人の言葉に、安心したり励まされたりすることもあります。
一方、同じがんの名前でも、病期、がん細胞の性質、治療内容、体の状態は一人ひとり異なります。その人に起きた治療効果や副作用が、自分にも同じように起きるとは限りません。
体験談を遠ざける必要はありません。暮らしや気持ちの参考にする部分と、医療情報として別に確認する部分を分けて読むことが大切です。
体験談から分かること、体験談だけでは分からないこと
体験談が役立ちやすいのは、治療中の暮らしや気持ちを具体的に想像したいときです。
- 通院日に持っていって便利だったもの
- 入院中の過ごし方
- 家族や職場への伝え方
- 脱毛や服装など、外見の変化への工夫
- 治療を受けたときに感じたこと
- 診察で聞いておけばよかったこと
こうした経験は、そのまま真似するのではなく、「自分にも合いそうな選択肢」として参考にできます。
一方、次のようなことは、一人または数人の体験談だけでは判断できません。
- その治療や健康食品に効果があるか
- 副作用がどのくらいの割合で起こるか
- 症状の変化が、本当にその食品や治療によるものか
- 標準治療をやめても問題ないか
- 自分にも同じ経過が当てはまるか
治療の効果や安全性を判断するには、多くの患者さんを対象に条件をそろえて調べた臨床研究など、体験談とは別の情報が必要です。
同じ治療でも、経験は一人ひとり異なります
同じ薬を使っていても、薬の量、ほかに受けている治療、年齢、持病、体調などによって、副作用や治療経過は異なります。
また、体験談では、その人が同時に受けていた標準治療や、病状の自然な変化などが十分に書かれていないこともあります。そのため、「この食品を取ったあとに良くなった」という順番だけでは、その食品が改善の原因だったとは判断できません。
体験談を書いた人が事実と異なることを言っているとは限りません。その人に実際に起きたことと、それがなぜ起きたかは別の問題だと考えると分かりやすくなります。
強い言い切りや商品への誘導には注意します
次のような体験談は、少し立ち止まって確認した方がよいでしょう。
- 「これだけでがんが治った」と断定している
- 標準治療を受けないよう勧めている
- 「医師は真実を隠している」など、不安や不信感を強くあおる
- 高額な商品、サプリ、施術、会員制コミュニティへ誘導している
- 効果だけを強調し、副作用や合わなかった人について触れていない
体験談の中に販売リンクがあるだけで、内容がすべて間違いとは限りません。ただし、体験の共有と商品の宣伝が混ざっていないかは確認したいところです。
読んで不安になったら、いったん検索を止めましょう
怖い体験談を読んだ直後は、それが自分にも起きるように感じることがあります。そのまま似た体験談を探し続けると、不安がさらに強くなることもあります。
その日はページを閉じ、気になった部分だけメモしておく方法があります。
- 何が一番怖かったのか
- 自分と同じなのは、がんの名前だけか、治療内容も同じなのか
- 次の診察で確認したいことは何か
すぐに答えを出したり、治療や食事を変更したりする必要はありません。治療効果、副作用、薬やサプリに関する内容は、主治医や薬剤師に確認できます。
キャンエビのまとめ
- 体験談は、治療中の暮らしや気持ち、通院や入院の工夫を知る参考になります。
- 同じがんや同じ治療でも、病期、がん細胞の性質、体の状態などが異なるため、その人の治療効果や副作用が自分にも当てはまるとは限りません。
- 「この治療で治った」「この食品が効いた」という経験だけでは、その治療や食品に効果があるとは判断できません。
- 体験談は自分の治療の正解を決めるものではなく、過ごし方や診察で聞きたいことを見つける材料として利用できます。
- 読んで不安になったときは、検索をいったん止め、気になった点だけをメモして医療者に確認しても構いません。








