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がん治療にかかるお金―自営業・フリーランスが確認したい制度

がん治療にかかるお金―自営業・フリーランスが確認したい制度

自営業・フリーランスが加入する市区町村の国民健康保険には、会社員の健康保険にある傷病手当金が原則としてありません。そのため、治療費の負担と、仕事を減らしたことによる収入の減少を分けて考える必要があります。

医療費には高額療養費制度、保険料の支払いが難しい場合には国民健康保険料や国民年金保険料の減免・免除などを利用できる可能性があります。加入している保険や収入の状況によって異なるため、自分に関係しそうな制度から確認していきます。

まず、加入している健康保険を確認します

自営業・フリーランスでも、加入している健康保険は一人ひとり異なります。

  • 市区町村が運営する国民健康保険
  • 業種ごとに設けられた国民健康保険組合
  • 退職前に加入していた健康保険の任意継続
  • 家族が加入する健康保険の被扶養者

高額療養費の申請先や保険料、独自に設けられている給付などは、加入先によって異なります。マイナポータルや資格確認書、保険料の通知などで、保険者の名称を確認できます。

ここが要点

まず加入している健康保険と、問い合わせ先となる保険者を確認すると、その後の手続きを整理しやすくなります。

医療費には、高額療養費制度を利用できることがあります

高額療養費制度は、1か月に支払った保険診療の自己負担額が、年齢や所得に応じた上限を超えた場合に、超過分が支給される制度です。自営業・フリーランスでも、公的医療保険に加入していれば対象になる可能性があります。

マイナ保険証などを利用すると、医療機関の窓口での支払いが上限額までに抑えられる場合があります。複数の医療機関や薬局を利用した場合などは、いったん支払った後に払い戻しの手続きが必要になることもあります。

入院時の食事代、希望して利用した個室などの差額ベッド代、先進医療の技術料、自由診療の費用などは、原則として対象になりません。

制度の詳しい仕組みは、別記事「がん治療にかかるお金―高額療養費制度について」でも紹介しています。

自営業・フリーランスには、傷病手当金がない場合があります

会社員などが加入する健康保険には、病気やけがで働けず、給与を十分に受け取れない期間を支える「傷病手当金」があります。

一方、市区町村が運営する国民健康保険には、会社員の健康保険と同じ傷病手当金は原則としてありません。そのため、自営業・フリーランスでは、治療のために仕事を減らした期間の収入を、別に考えておく必要があります。

ただし、業種別の国民健康保険組合や共済などでは、独自の給付を設けている場合があります。また、民間の医療保険、がん保険、所得補償保険などから給付を受けられる可能性もあります。

加入している制度や保険が分からない場合は、保険料の引き落とし履歴、契約者向けサイト、保険会社から届いた書類などから確認できます。

ここが要点

市区町村の国民健康保険には傷病手当金が原則としてないため、民間保険や貯蓄、仕事量の調整なども含めて収入減への備えを考える必要があります。

収入が減ったときに確認できる制度

治療によって仕事量や収入が減り、保険料や税金の支払いが難しくなることがあります。利用できる制度は、前年の所得、現在の状況、住んでいる自治体などによって異なります。

国民健康保険料の減免や納付相談

収入の大幅な減少や特別な事情がある場合、国民健康保険料の減免や納付猶予、分割納付などを利用できることがあります。

条件は自治体や国民健康保険組合によって異なります。現在の収入が減っていても、前年所得をもとに保険料が計算されている場合があるため、支払いが難しいときは加入先の窓口で相談できます。

国民年金保険料の免除・納付猶予

国民年金保険料の支払いが難しい場合は、所得などの条件を満たすと、保険料の全額または一部の免除、納付猶予を受けられることがあります。

審査では原則として前年所得などが確認されます。事業を廃止・休止した場合などには特例が適用されることもあります。

保険料を未納のままにすると、将来の老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金などの受給資格に影響する可能性があります。支払いが難しい場合は、未納のままにせず、市区町村の年金窓口や年金事務所で免除・猶予の対象になるか確認できます。

税金の納付相談

所得税、住民税、個人事業税などの支払いが難しい場合は、税務署や自治体で納付方法を相談できることがあります。

前年より所得が大きく減る見込みで、所得税の予定納税をしている人は、予定納税額の減額申請ができる場合もあります。申請できる時期が決まっているため、対象になりそうな場合は国税庁の案内を確認します。

日常生活や仕事への影響が大きい場合は、障害年金も確認できます

障害年金は、がんという診断名だけで受け取れる制度ではありません。病気や治療の影響によって日常生活や仕事がどの程度制限されているか、初診日、年金保険料の納付状況などをもとに審査されます。

自営業・フリーランスとして国民年金に加入していた期間に初診日がある場合は、主に障害基礎年金の対象となり、障害等級は1級と2級です。会社員として厚生年金に加入していた期間に初診日がある場合は、障害厚生年金の対象になる可能性があります。

現在の年金の加入先ではなく、原則として病気について初めて医師の診療を受けた「初診日」に加入していた年金制度が基準になります。

体調や治療の影響で日常生活・就労に大きな制限が続いている場合は、年金事務所や病院の相談窓口などで、対象になる可能性を相談できます。すべてのがん患者が診断直後から申請書類を準備する必要があるわけではありません。

仕事と生活のお金を分けて整理してみます

自営業・フリーランスの場合、生活費に加えて、事務所の家賃、通信費、借入金、サービス利用料など、仕事を減らしても続く支出があります。

最初から詳しい資金計画を作る必要はありません。次の3つを大まかに分けるだけでも、どこを相談すればよいか見えやすくなります。

  • 治療や通院にかかる費用
  • 家賃や食費などの生活費
  • 仕事を続けるための固定費

仕事を完全に休む以外にも、納期の調整、受注量の縮小、外注、休業などの方法があります。体調と治療予定に合わせて、続ける仕事と一時的に減らす仕事を整理することも、収入減への対策になります。

相談先は、確認したい制度に合わせて選べます

すべての窓口に連絡する必要はありません。現在困っている内容に合わせて相談先を選べます。

  • 治療費や利用できる制度:病院のがん相談支援センター、医療ソーシャルワーカー
  • 高額療養費や国民健康保険料:加入している健康保険、市区町村の国民健康保険窓口
  • 国民年金保険料や障害年金:年金事務所、市区町村の年金窓口
  • 所得税や予定納税:税務署
  • 住民税など:市区町村の税務担当窓口
  • 民間保険や共済:契約している保険会社・共済

キャンエビのまとめ

  • 市区町村の国民健康保険には、会社員の健康保険にある傷病手当金が原則としてありません。自営業・フリーランスでは、医療費と収入減少への対策を分けて考える必要があります。
  • 医療費には高額療養費制度を利用できる可能性があります。加入している健康保険によって申請先や手続きが異なります。
  • 収入が減り、国民健康保険料、国民年金保険料、税金の支払いが難しい場合は、減免・免除・猶予や納付方法を相談できることがあります。
  • 病気や治療によって日常生活や仕事に大きな制限が続く場合は、障害年金の対象になる可能性があります。ただし、診断名だけではなく、障害の状態、初診日、保険料の納付状況などによって判断されます。
  • 民間保険や共済、業種別の国民健康保険組合に独自の給付がないかも確認できます。

参考文献

  1. 高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省(公的資料)
  2. 国民健康保険制度|厚生労働省(公的資料)
  3. 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構(公的資料)
  4. 障害年金|日本年金機構(公的資料)
  5. 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁(公的資料)

ご注意

この記事では、自営業・フリーランスが確認できる公的制度や相談先を一般的に紹介しています。利用できる制度や条件は、加入している健康保険、年金の加入記録、所得、自治体などによって異なります。具体的な手続きは、それぞれの窓口でご確認ください。

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