抗がん剤などの治療が始まると、髪が抜ける、爪の色が変わる、肌や頭皮が乾燥するなど、外見にも変化が起こることがあります。
「ウィッグを買わなくちゃ」「爪のケア用品も必要?」「治療にはどんな服で行けばいい?」と、治療が始まる前から全部そろえたくなるかもしれません。
でも、最初から全部準備する必要はありません。
起こる変化も程度も、使う薬や人によって違います。必要になったものから、その都度取り入れていけば大丈夫です。
通院する服は「楽」がいちばん
治療中の服は、特別なものを買わなくても大丈夫です。まずは自分が楽に過ごせることを優先してみましょう。
点滴の日なら、腕を出しやすい服やゆったりした袖の服が便利です。診察や検査がある日は、脱ぎ着しやすい服の方が負担が少なくなります。
病院の中は暑かったり寒かったりすることもあるので、カーディガンなど簡単に脱ぎ着できるものが一枚あると便利です。
治療によって肌が敏感になったり、むくみなどで締め付けが気になったりする場合には、柔らかい素材やゆったりした服を選ぶのもひとつの方法です。
「治療の日だからこの服でなければ」と考えるより、長い待ち時間も含めて、自分が一日楽に過ごせる服を選んでみてください。
髪が抜けたら、ウィッグでも帽子でもいい
脱毛が起こる治療では、ウィッグを準備する人もいます。
でも、全員がウィッグを使うわけではありません。帽子やスカーフで過ごす人もいます。仕事の日だけウィッグを使い、家や休日は帽子、という使い分けでもOKです。
ウィッグにも人毛、人工毛、人毛ミックスがあり、価格もさまざまです。高価なものが必ず自分にとって一番使いやすいとは限りません。
病院に医療用ウィッグの見本が置かれていることもあるので、まだ何を選べばいいか分からなければ聞いてみてもいいでしょう。
キャンエビでは、ウィッグの素材の違いや男性向けの選び方、強風の日のずれ対策なども別の記事で詳しく紹介しています。
髪が抜けたあとの頭皮も、肌の一部
髪がなくなると、それまで髪に隠れていた頭皮が直接外気や紫外線に触れるようになります。また、治療中は頭皮が乾燥したり、敏感になったりすることもあります。
洗うときは強くこすらず、やさしく洗えば十分です。乾燥が気になる場合には、刺激の少ない保湿剤を使う方法もあります。
外出するときは、帽子などで頭皮を紫外線から守ることもできます。
特別な「抗がん剤用頭皮ケア」をたくさんそろえる必要はありません。まずは頭皮の状態を見ながら、刺激を減らして清潔に保つことから考えてみましょう。
強い赤みや痛み、ただれなどがある場合には、自分でケアを増やすより医療スタッフに相談してください。
爪にも変化が出ることがある
治療によっては、爪が乾燥する、割れやすくなる、筋や色の変化が出るなどの症状が起こることがあります。
基本的なケアは意外とシンプルです。爪を極端に伸ばさず、引っかかりにくい長さに整え、手や爪の周りが乾燥していたら保湿する。水仕事などで爪への刺激が気になるときには手袋を使う方法もあります。
爪の変化があっても、すべてが治療を必要とするわけではありません。ただし、爪の周囲が強く赤くなった、腫れた、膿が出る、強く痛むといった場合は、治療している病院に相談しましょう。
眉毛やまつ毛が薄くなることも
髪だけでなく、眉毛やまつ毛が薄くなったり抜けたりすることもあります。
眉毛はアイブロウで描き足すほか、眉毛シールなどを使う方法もあります。女性だけでなく、男性向けの眉毛アイテムもあります。
まつ毛が少なくなった場合も、アイラインやつけまつ毛などで目元の印象を補う方法があります。
アートメイクという選択肢もありますが、日本では医療行為です。また、治療中は感染や出血などを考慮して施術時期を判断する必要があるため、検討する場合は主治医と施術する医療機関に確認しましょう。
眉毛・まつ毛のケアやアートメイクについては、別の記事で詳しく紹介します。
「元通りに見せる」だけが外見ケアではない
アピアランスケアというと、「治療していることが分からないようにするもの」と思うかもしれません。でも、必ず治療前と同じ見た目に戻す必要はありません。
ウィッグを使って以前と同じ髪型にしてもいいし、思い切って違う髪型を楽しんでもいい。帽子で過ごしてもいいし、何もかぶらなくてもいい。爪の変化を目立たなくしたい人もいれば、気にしない人もいます。
大切なのは、治療中の自分が少しでも過ごしやすくなること。
外見ケアは「きれいにしておかなければならない」という新しい宿題ではありません。困ったことが出てきたときに、自分を少し楽にするために使える選択肢のひとつです。
キャンエビのまとめ
- 治療前に外見ケア用品を全部そろえる必要はありません。
- 通院の服は、脱ぎ着や体温調節がしやすく、一日楽に過ごせるものを。
- 脱毛したら、ウィッグ・帽子・スカーフ・何もかぶらないなど、いろいろな選択肢があります。
- 頭皮は強くこすらず、乾燥や刺激から守ることを基本に。
- 爪は短めに整えて保湿し、強い炎症や痛みがあれば病院へ相談しましょう。
- 眉毛やまつ毛にも、メイクやシールなどさまざまな方法があります。
治療による外見の変化は人それぞれです。全部に備えるのではなく、「今ちょっと困っていること」からひとつずつ対策していけば十分です。








